Rusty(ラスティー)サーフボード:Dwartインプレッション
カリフォルニアの老舗ブランドの人気ボードのDwart。
Rustyは、カリフォルニアのLa Jolla(ラ・ホヤ)に拠点を置く、世界屈指のブランドで、Josh Kerrをはじめ、ワールドツアーサーファーにもシェイプをする世界トップクラスシェイパーです。
そう聞くと、ハイパフォーマンスボードのイメージが強いのですが、実際はハイパフォーマンスオンリーのブランドではありません。
カリフォルニアはビーチから、リーフ・ポイントまで多種多様なブレイクがあります。しかも、AUSなどに比べて波が弱く、波も悪い時が多いです。AUSで小波というカテゴリーが、カリフォルニアでは普通の波という考え方もされるのです。
しかも、カリフォルニアの海はそれなりに混雑しています。週末になると、ラインナップには日本のような混雑具合を見せるのです。それが、1〜2フィートの膝~腰の波でもです。
そんなカリフォルニアのマーケットにあわせるRustyは、波が整わない場合のボードや、波の対応幅が広いデザインが数多くあります。世界でいまやスタンダードになるグロベラーボードなどは、カリフォルニアが起源と言っても良いし、Fishボードはカリフォルニアからやってきたもの頷けるのです。
このDwartは、週末サーファーやサーフィンの時間が多く取れないサーファー、そしてアベレージのサーファーがこの1本で
・膝〜頭オーバー
・オンショアでもオフショアでも
・ビーチでも・リーフでも
乗れるようにデザインされている屈指のマルチボードです。世界のトップブランドは、そのネットワークを生かして、世界中からのフィードバックをデーターとして抱えられるのも魅力です。そのフィードバックが膨大なために、より洗練されたデザインを生み出すことが出来るのです。
Rustyのボードラインナップの中で、このDwartは世界でのベストセラーボードです。発売から常に細かな点をリファインして、完成度がこれまで無いくらい高まっています。
そんなRustyの人気ボードの特徴を書いてみました。
【ボードの良い点】
・ボードが水に浮いて走るような乗り味なので、スケートボードのようなフィーリング
・走り出しの良さ(走り出しが早い)
・浮力を取っているのですが、フルノーズのRNFではなくセミRNFのようなノーズ形状なので、ノーズがそれなりに尖っている。短いレングスに思い切った容積をボードに入れることが出来るデザイン。そのためにドルフィンが楽。超浮力系のサイズにしても、その恩恵を感じられる
・テイクオフの後のボードの安定性が高い
・ボードが浮き上がるような走り出し&スピード性能なので、テイクオフ後に波につかまり難い
・乗った後で、スピードが付いた後にテールよりに加重すれば縦にボードを持っていける
・小さい波でも走るし、掘れているチューブでも乗れる
という点が特徴的です。
最近多く質問を受ける点で、
”先が尖っている超浮力系に乗っているのですが、波が大きくなったりするとその浮力が多過ぎるためにドルフィンがとても辛くて(連続ドルフィンをするため)、嫌になってしまう”
という悩みを解決出来るボードです。
そういった苦労をお持ちの方は、超浮力系オールラウンドボードより少しCL値を落として、そのボードより短いサイズに乗ってみてください。そうすると、浮力は多少落ちるかもしれませんが、Dwartのテイクオフの速さを生かして、それほどテイクオフを遅くすること無く、ドルフィンをかなり楽にすることが出来るのです。ボードバランスの高さが際立つDwartですので、短く・浮力あり目であり、テイクオフがとても早くて、それなりに動くボードに仕上げることが可能です。
もちろん1つのボードですべての点で満点は取れるわけではないので、ボードを選ぶ際の更なる特徴も上げてみます。
【スパイスアップ!】
・ボードが水に浮いて走るような乗り味なので、スケートボードのようなフィーリングで、スピード重視のボード
・波のトップでボードを回転させるには、きちっとテール加重に持っていく必要がある=前足加重のトップターンだと、縦にはあまり回らない。縦に持っていく、クイックなターンをするには後ろ足のスタンスでデッキパットの後方へ持っていく必要がある。これはモダンサーフボードの特徴なので、逆を言うとあなたのサーフィンスタイルをよりモダンに矯正してくれるデザイン。
・幅広のボードなので細かなチェックターン+踏み込みをフンフンとしながら乗るボードではなく、波にある程度あわせながら多少力を抜いてサーフィンしたほうがうまく乗れる
・浮力+くらいのCLで選ぶと良い。目安としてハイパフォーマンスボードの3L前後の+
以上のことは頭に入れておく必要がありそうです。
【どんなサーファーにこのボードは向いているか?】
・ポイントノーズのショートボードには疲れてきた方
・超浮力ボードよりも、チョッピリ浮力アップボードに乗りたい方
・今までのポイントノーズよりも多くの波に乗りたい方
・1本でほぼすべてのコンデションに対応させたい方
・テイクオフですぐにボトムに降りてしまってホワイトウオーターに捕まる回数が多い方
となります。
筆者が乗ったボードは5'5"-20.12-2.53のサイズでCLは30.4となります。170cm・60kgくらいの体重です。変化が出る体重なので、多めに考え体重がマックスの63kgとして、CLは体重比で48%となります。ボードはかなり浮力を感じますが、ノーズがフルラウンドでは無いので、ドルフィンも全然楽で、そしてパドルも軽快です。通常ハイパフォーマンスボードは40%強のCL値を乗るので、このボードはかなり浮力がある部類です。
乗ってみると、浮力はかなり感じます。初めてこのボードを乗った際には、自分の印象ではこのサイズの1つ下のサイズの5'4"-20"-2.5(CL:28.4)のほうがより動きが出せて良いと感じましたが、慣れている今はこのCLでも問題ありません。というか、年齢も40をちょうど超えた自分には、これくらいがパドルやテイクオフでストレス無く波乗り出来きます。このボードを5か月乗り込んだ今では、こちらのほうがベターと感じます。
40歳以下で、体力もそれなりにある方で、動きを重視するのであれば、5'4"なんでしょうが、このサイズが自分には合っています。少しリラックスしながらもいざと言うときに当てられるボードの取り回しで、縦にもボードを持っていけます。
これが確信に変わった瞬間は、ある日の波がそこそこ整っている(だけど海はそれなりに混んでいる)コンデションの時でした。波は肩サイズで、掘れていて早いです。チューブもあります。ただし、波が崩れる直前まで思ったより波が切り立ってこないので、テイクオフが上手いまたは早いサーファーが有利です。
その場所は、キッズからローカルの上手いサーファーが多くいました。日本のプロも何名か入っていました。彼らがいわばファーストのピークに陣取り、ビジターや中級サーファーはそのピークから少し外れた場所にいました。そしてインサイドは更に体力&技術が劣るサーファーという構図です。
一般サーファーはドピークではなく、多分2番目のピークでサーフすることになるでしょう。1番目のピークでは、皆さんの技術と体力(+威厳)があり過ぎて波待ちすら快適では無いからです。
自分も1.5番〜2番目のピークで波待ちをしました。それでも、その2番目ピーク付近のラインナップでよくよく見ていると、乗れるサーファーと乗れないサーファーが必ず出るのがわかります。乗れるサーファーは、そのピークでやはり体力&技術に勝るサーファーです。またはもう1つのシークレットカテゴリーのサーファーも乗れています。
こういったように、空いている海で無いとすぐに2番目のピークでも序列が出来てしまうのです。乗れるサーファーと乗れないサーファーに分かれてしまいます。
空いている海でやればいいんだ!
確かにそうなんです。誰だって混雑している海では入りたくありません。
でも、混雑した波や整わない波でも入らざるを得ない日本特有の事情も是非考慮してボードを選びましょう。
日本の海はコンデションが整う場所が海外に比べてかなり限られます。波が安定している場所と比べて、毎日の波の変化がかなり大きいです。そして、海外のように平日毎日朝海に入って仕事へ行くというスタイルが一部の人を除いてなかなか確立出来ません。日本人の多くの人にとっては、仕事や住んでいる場所の関係上そういったことは、実際難しいのも事実です。
実際筆者が住んでいたカリフォルニアでは、サーフィンはほぼ海の近くに住んでいる人しかやりません。統計は取っていませんが、かなりの%のサーファーが、海まで車で30分圏内とかでは無いでしょうか?海の近くに住んでいるので、やろうと思えば毎日とは言わないまでも、週5回くらいサーフィン出来ます。
例外もいるでしょうが、日本とはかなり事情が違います。日本では、多くのサーファーが週に1〜2回のサーフです。かなりやれて3回くらい。仕事も家庭も、付き合いもありあす。例外もいますよ、もちろん。でも多くは無い。そういった事情を持つ方々には、全く違ったボード選びの技術・知識が必要なのです。
そういった限られている貴重な時間を、リフレッシュして楽しく過ごしたい方へこの手のデザインボードは最適なんです。
さて、インプレに話を戻しましょう。
そのピークの中で、筆者は乗れているほうでした。理由は、体力と技術ではありません。ボードのチョイスが自分のレベルにあっていたからです。このピークの中では、乗ってしまえば筆者と同じようなレベルなサーファーでも、サーフボードの選択を誤っているサーファーが多数いました。
波には、明らかに波に乗り遅れています。乗れないのに、なぜあんな細くて攻めているボードに乗っているのだろう?と思いました。結局筆者より、そういったサーファーのほうが同じ時間でも1/5くらいしか乗れていないのです。混んでいる場所で、一度パドルをして乗れないと他のサーファーに甘く見られます。そうなると、ドロップインも多くされるし、ポジショニングも取りずらくなります。反対に乗れていると、なぜだか周囲が配慮をするようになり、より多くの波をより快適に乗れるようになるのです。
こういった乗れない体験をして、その次のボードで変化をさせる学べるサーファーはまだ良いです。
でも、そうでも無いサーファーもいる。学ばない自我流でサーフィンをしているのか、アドバイスを受ける場所がイマイチなのか?それとも、良い意味での頑固なこだわりか?自分には全く理解が出来ません。サーフィンは楽しむものなのに、乗れないサーファーはサーフィンの本質が味わえないのです。
もちろん浮力も多すぎると、ある人にとっては動きが満足に出来ないから、限度はあるかもしれません。
筆者は体重の50%以上の浮力ボードでも、結構楽しめますが、そうじゃない方もいらっしゃる。
ですので、ある程度の指標も作りました。ショートボーダーで一般サーファーとしては、
・海にいて、快適なパドルとテイクオフが出来る
・自信を持って狙った波には確実に乗ることが出来る
・乗った後でも、自分がスカッとする・エキサイト出来るターンが可能
という要素をミックスしたサーフボードを選ぶと、ショートのフィーリングを生かしたまま、楽しいサーフが可能になると強く感じます。
`いやいや浮力や安定感というより、試合でも使えるパフォーマンス性能を求めているんだ!
と言うサーファーは他のモデルを推奨します。このボードはそういったコンペ志向の方ではなく、サーフィンを心より楽しみたいフリーサーファーにお勧めするボードなのです。
さあ、話を元に戻しましょう。
このサイズだと浮力には余裕がありますが、超浮力ではありません。浮力を生かした乗り方で、通常のパフォーマンスボードとはまた乗り味も異なります。
動かすためには、体重移動が効果的です。まず、テイクオフ後は少し前側に体を持って行ってボードを加速させます。ボードスピードが十分になったら(または波のパワーゾーンにボードを持っていけたら)、後ろ足をデッキパットの後方に持っていくイメージで乗ると、かなり動きが出せるので、浮力があっても縦に動かせるのです。サイズが1つ下だったら、たぶんテイクオフをしてすぐに後ろ足を後方に動かせそうです。
ただしこれはトレードオフの関係を理解する必要があります。後方に重心を早く持っていけるということは、ボードの動きが波に対して敏感な証拠なので、テイクオフではより意識を高めないと波のハイラインをキープできずに、ボトムに直ぐに落ちていくので、波が早く崩れる場合などは、斜めテイクオフなどをしてハイラインをキープする必要があるでしょう。そうしないと、波においていかれます。
このボードコントロールの方法は、あくまでもこのDwatモデルの異なるサイズでの比較です。そのことを頭に入れておきまましょう。
細いボードに比べたら、浮力ジャスト+のサイズであっても、テイクオフで失敗することが少なくなり、少しぐらい無理なポジションからのテイクオフでも波に捕まりません。そして、走りが抜群なんであれよあれよとセクションを乗り越えていきます。
最大のセールスポイントの一つは、これ1本で小波から頭オーバーのチューブもいけるそのマルチな性能です。短いのですが、実際小波用ボードという印象は皆無です。イメージとしては
“小波も行ける、オールラウンドボード”
という表現がピッタリです。イメージとしては、Fishのテイクオフの早さ・パドルの楽さに、ショートボードに近いターンを兼ね備えてる一般サーファーの救世主のようなモデルです。
今のボードでサーフセッションをして乗れなくて楽しめない・・・波に乗れればそれなりに出来るのに!!というサーファーから、長いボードからの転向組。体力が落ちてきたショートボードが好きなベサーファー。
サーフィンを長くやっているベテランサーファーでも、このボードは満足するはずです。プロレベルのサーファーも、この素晴らしい性能に魅力を感じて、Dwartを必ず携帯するようになっています。もともと一般サーファー向けにデザインされたのですが、その楽しさに虜になってしまっています。
なによりも、Rustyというブランドがカッコイイ!という理由だけでも持っている価値もありますが、それに性能がきちんと付いてきているのが所有の満足感を高めてくれます。