Robertsサーフボード:Dream Machineインプレッション
最初に言っておきましょう。なんと言っても超小波〜小波で、今まで体感したことの無い楽しさが味わえるのがこのモデルです。
このDream Machine(ドリームマシーン)は、通常はショートボードでサーフィンしないような小波やトロ波、全然走らないようなハイタイドの厚い波でショートボードの醍醐味を120%体感させてくれる傑作ボードです。
シェイパーRobertのライダーやユーザーさん達から、
"短く・幅広・ロッカーはフラットでボリュームたっぷり“
ボードをシェイプしてくれと多くのリクエストを受けていました。もちろんMuch MachineやMutantはその一旦を担うのですが、更に短く・幅広・フラットかつボリュームがあるボードを欲しているサーファーもいました。そんな要望を答えるために開発したのが
"Dream Machine"
です。
更にRobertは秘話も教えてくれました。
Dream Machineは、あの超人気ボードのDream Catcherのユーザーから
"Hey Robert、Dream Catcherは凄く良いボードだよ。自分の一番好きなボードのひとつになったぜ。このボード小波でもいけるのだけど、小波でもっと走りと楽しさを重視したボードってデザイン出来ないか“
というリクエストを多く受けることによって開発が始まりました。つまりDream Catcherモデルのステップダウンモデル(一回り小さくしたモデル)がこのDream Machineだったのです。
Dream Catcherは膝波でも良く走り、そして楽しめるボードなのですが、このDream Machineは、ロング波でもDream Catcherのテイクオフ&走り出しのスムーズかつ早い性能を受け継ぎ(小波だとDream Machineのほうが更に早いです)、ラウンドテールのスーパースムーズターンを小波で出来るのです。
個人的には
"ショートボードが好きな方が、ロング・ミッドレングスコンデションで短い板で動きもばっちり出しながらのるなら、もう長いボードは一切いらない”
と感じさせてくれるボードと強く感じています。それほど、小さな波でも走る能力があり、そしてロングしか乗っていないコンデションでも乗れてしまうボードなのです。
デザインとしては、Dream Catcherをコンパクトにするために、ノーズ&テールを見てわかるくらいの幅広にしています。
テールのラウンドは継承していますが、それでもやや幅広にとっていることがわかるでしょう。ロッカーはフラット気味なんですが、Robertシェイプの小波ボードの特徴的なデザインである
“ノーズより6インチまでの長さのフリップと、レールエリアのロールアップ”
が施されていて、少しぐらい掘れていてもノーズが突き刺さり難くなってます。少し乗り遅れてレイトドロップをしても、波にノーズが刺さることがより少なくなりす。フラット気味なロッカーとしては、驚くべき性能です。
そしてコンケーブはシングル〜深いダブル〜VEEというコンビネーションです。レトロ系ボードのようなのっぺり感が無く、コンケーブによる水流を足元から感じられる素晴らしいボトム形状です。
【ボードの良い点】
・短く幅広・ボリュームあるアウトラインで、弱い小波・厚い波でも波をキャッチし、そして乗った後もグイグイと走っていく
・乗った後の走りはレトロ系のグロベラーボード(つまりコンケーブはほぼ無くて、アウトラインとボリュームで走らせるタイプ)よりも、コンケーブが入ったボードという感じを浮けて、ショートボーダーが乗っていてより楽しい。乗り味がイキイキとしていて、乗り手の体重移動にも意のままに反応する
・コンパクトな掘れた波でも、ノーズのフリップ&エッジのロール&テールのラウンドテールが効いていて、波にフィットする感じを受ける。そして、波の急な変化にも対応しやすい。
・パドルとテイクオフはやっぱり楽
・前足エリアのシングルコンケーブとテールの深いバレルのようにはいったダブルコンケーブが、ボードを浮き上がらせて、とにかくスピードが早い。
・乗った後に、テールで板をコントロールする能力が非常に高い。
・幅広なアウトラインが超とも言える安定感を引き出し、ボードが乗り手をカバーしてくれる場面が多い。
・前足を踏み込んでも、レールが引っかからず踏み込みがそのまま加速につながるので、どこまでも走って行けるように感じる
【スパイスアップ!】
ボードをテストしていて、以下のようにも感じました。
@ 小波ボードとしてはネガティブな部分は無いのですが、超浮力系として使うとなるとサイズ(CL値)をあげて乗る必要があります。そうすると、タイトにフィットしたターンは、通常のジャストサイズよりは落ちます。
A ワンサイズ上げた(例えば170cmで65kgのライダーが、5'8"のストックサイズのボードに乗る)Dream Machineだと、超浮力系として使えるので、ロングボードやファンボードからの乗り換えでショートボードに乗りたい方へもお勧めできる。
B 厚い・小波だけに目が行きそうなのですが、ノーズエリアの処理とテールのおかげで、肩サイズの波でレイトドロップなテイクオフをしても、ノーズが通常のフラットな小波系ボードより突き刺さり難い。
C ある程度サイズがあって、トップToボトムの動きが出来る波でも乗れます。ただし、レングスが短いので、長いターンを重視する方はもう少し長いボードモデル(例えばDream CatcherやCBのThe Pieなど)のほうが楽しめます。
【どんなサーファーにこのボードは向いているか?】
@ Dream Catcherが好きで、そのステップダウンボード(より小波に特化した)が欲しい方。
A レトロ系のボードは実は乗ってもあまり自分には合わなかったが、やっぱりボリュームのあるレトロ系なアウトライン(だけど乗り味はショートボーダー好みで違和感が少ない)で、乗り易いボードを探している方
B MutantやMush Machineよりも更にノーズが丸くて、そしてボリュームがるボードを探している方
となります。
小波中心で使いましたが、その他の波でもかなりテストしました。小波でも掘れていてラインがある波から、小波で厚い波も使いました。そして、それなにりパワーのある胸〜肩くらいのサイズでも使ってみました。
パドルした印象は、短さを全く感じさせないフィーリングです。
サイズは、5'3”−20 1/4"-2 3/8” です。素材は高密度EPSフォーム+Hydro Flex3Dエポキシグラッシングなので、PUフォームバージョンとは触り心地から、パドルの感触が少し違います。
PUバージョンよりも、表面が硬く・乾いている感じがします。ボードの重量はよく巷にある激軽EPSよりも、しっかりとした密度の濃いEPSフォームを使うので、軽いボードという印象です。
ボードに乗ってみると、硬い印象は全く無く、ややXTR素材に似ている乗り味と感じます。フォームの密度を高くして(防水性アップ)、そして3Dグラッシングをするだけで低密度のEPSフォームとはかなり乗り味変わりました。
強度ですが、PUバージョンと高密度EPSバージョンは全体的な寿命(つまり乗り味が新品のまま長く続く)の強度はあまり変わりませんが、フットマークや凹みに対する強度(特にデッキ面)はこちらの高密度EPSバージョンのほうが高いです。凹みに強いボードを探している方へは朗報です。
よりしっとりとしながらも、軽い動きが可能な素晴らしい素材のコンビネーションです。波にパワーがある時は、PU+ハイドロフレックス3Dグラッシングのほうが良いかもしれませんが、より凹み難いボードを探して言えt小波〜中波が中心であれば、こちらのフォーム構造+グラッシングもお勧めします。
掘れている波でも、ノーズがフリップ&ロールしていて+テールがラウンドテールなのでボードが波にぴったりとフィットして、コントロール性が良いです。厚い波では、前足気味加重で、前側のレールが引っかからずにどんなフラットなセクションも走ります。まるでエンジンが付いているようです。
テイクオフ後の前重心から後ろ側重心への体重移動がとてもスムーズで、レールの引っ掛かりが無いのも特徴です。テイクオフ→スタンドアップから、スムーズにターンのための後ろ足重心への移動が行えます。
乗っているとわかりますが、このボードは小波だけでは留まりません。もちろん小波系なのですが、それなりに波が整っていても乗れます。かなりの波のコンデションをカバーすることが可能です。
こういった丸目のボードが好きな方なら、
”このボードがあれば日本だったら、かなりの範囲の波をカバーできる”
と感じてくれることでしょう。そして、とにかく性能が高い。あるユーザー様は
”このDream MachineよりCL(容積)が3リッターも多いボードより、このボードのほうがテイクオフが早い。今までで、ベストな小波ボードです。”
とインプレッションをくださいました。
筆者もボードに乗っていると明らかにアドバンテージを感じることが出来ます。細いボードを選んで、波に乗れていないサーファーさんを海で見かけると、
”そんな人がこのボードを乗ったら感激することでしょうね・・・”
と感じます。
とにかくこのボードは1本持っていて損は無いです。サーフィンを愛するすべての日本のサーファーが持つべきタイプのボードと感じます。