●Robertsサーフボードの各モデルについて詳しく見るにはこちらをクリック
●Robertsサーフボードのストック状況はこちらをクリック
●Robertsサーフボードのストック入荷予定はこちらをクリック
◇Robert Weinerの新時代の"一般サーファーが波に乗れる・体感出来る”ハイパフォーマンスボード
数々の輝かしいフォトショットを数多く残してきたボード、これぞ新しい時代のハイパフォーマンスデザイン・・・Robertがカリフォルニアから提案する、Newコンセプトのハイパフォーマンス。そして、一般サーファーでも高いレベルを保って乗れる、ちょっぴり短めのハイパフォーマンスボード。これこそBlack Dump Trackモデルだ。
日本の波は波長の短いウインドスエルが多く、一般的には海外の波に比べると弱めだ。それに対して、カリフォルニア在住だった筆者には
"カリフォルニアの波ってすごく良いのでしょう?”
と聞かれる機会が多い。
たぶん、カリフォルニアの波・・・こう聞くと、憧れも含めて
"カリフォルニアの波はパキパキに良い“
と思うことだろう。筆者は実際に7年間住んでいた。最後の4年間は、ほぼ毎日サーフィンをして、今でも年に3〜4回出張で合わせて35〜40日ほど滞在する。そんな筆者からも言わせてもらおう。カリフォルニアの波は、いい時もあるがそれほど整わない時も多い。
あるAUSで育って、現在CAに引っ越している有名なWCTのトッププロ(Mr Josh Kerr!)に言わせると
"AUSのほうが波は100倍も良い“
となるくらいなのだ。個人的には100倍は言いすぎだと思うのだが、とにかくカリフォルニアの波は小さかったり弱かったりする場合も多い。だから、カリフォルニアでは波が整わない時のボードも必要だし、そういったタイプのボードのデザインにシェイパー達の技術が長けている。RobertsのBlack Dump Trackもそんな弱めの波でも、優れた性能を発揮出来るボード。今までのハイパフォーマンスボードよりも、ちょっぴり短めで小さな波でもタイトなサーフィンを可能にしてくれる。
このボードはあの名作のWhite Diamondがベース。White Diamondは確かに最高のボードなのだが、コンテストに使うとなると短すぎるためにジャッジの受けがイマイチで点数が出にくい。なので、White Diamondの良さを出来るだけ生かしながら、ボードを少し長くして見た目をよりハイパフォーマンスボードに近づけるボードにしたのだ。そのボードこそがBlack Dump Trackのダイヤモンドテールバージョンの"Black Diamond”である。このBlack Dump Trackは、そのBlack Diamondのスカッシュテールバージョンとなる。
つまり、以下のような区別がWhite DiamondとBlack Dump Trackにある。
@White Diamondは最高の小波ボードだ。これさえあれば、ショートでは通常テイクオフ出来ないような小さな波でもクイックかつ、スピーディーに動かせるし、楽しめるモデル。
AWhite Diamondモデルの良さを残しつつ、よりノーズ&テールを薄めに、そしてロッカーも少しだけ強めにしていて、コンテストにも使えるハイパフォーマンスオールラウンドボードモデルが、このBlack Dump Trackである。
Robertは、膝〜頭オーバー用のボードだと言う。だが、このボードで数多くのテストをした筆者は、ボードのベストサイズはもも〜頭半くらいだと思う。実際、近場のビーチのマックスサイズであった日でもこのボードで余裕にサーフィン出来るし、逆に日本人感覚のの膝波だとちょっぴり板が長く感じるだろう。
日本とカリフォルニアの波の判断の基準は、ワンサイズ(といっても1/2〜3/4フィートくらい)違うように感じる。これは、多くのカリフォルニアのプロシェイパーと話していて、いつも思う日本人とカリフォルニアのシェイパーの波のサイズのギャップなのだ。だから、オーダーの時にシェイパーに説明する際には、そういった意識の差も加味してオーダーする。
ボードは様々なコンデションに対応出来るデザインで、1本しかボードを持っていけない・・・という時はこのボードを選ぶと良いだろう。オンショア・チョッピー・オフショア・小波・頭サイズと幅広い状況で活躍する。
Black Diamondはダイヤモンドテールなのだが、そのテールをスカッシュにしたのがこのBlack Dump Tarckとなるのは、先程説明したとおり。ボードのシェイプは、Black DiamondもBlack Dump Trackもぴったり同じ。テールの形だけが異なる。
White Diamondのコンセプトを受け継いでいるので、あのノーズよりのボリューム感はきちっと残してある(ただし、White Diamond比では少し薄め)。あの走り出しの早さも、かなり保たれていることだろう。
しかも、このボードはプロも使うハイパフォーマンスなのだが、一般サーファーが乗ってもその性能の高さを引き出せ・体感出来るのが優れた点だ。
早い走り出し、乗りやすさ、そのスピード・・・まさにちょっぴり短めハイパフォーマンスボードの傑作。上達したい中級者や、レベルアップしたい初級〜中級者にも乗れる。もちろん、プロレベルライダーの高い要求にも答えられるのだ。
インプレももう何十本も書いてきた。多メーカーを含めたら、もう数百本以上はサーフボードに乗ったか?少しだけ批判的な意見も入れながら書けたら更に良さそうなのでそれも念頭に於いて書いてみよう。
●Day1●
場所 :千葉北
風: 弱いオンショアショア
サイズ:胸〜肩。セット頭オーバー
波質:サイドオンショアが吹いていて、多少のバンプがある。ただし、問題は無い。トロ早い波
最初のテストのレポートは、7月の後半で台風のうねりが入っていた千葉北エリア。風がオンショアなのだが、弱めだったので問題は無く、切れた波を選べればファンウエーブだ。
ボードはRobertのWhite Diamond系シリーズらしく、ノーズにボリュームを持つのでパドルが楽。でも、パドルをしていて動かないようなフィーリングは一切無い。軽快に動きそうな感じなのである。
沖に出ると、波はソコソコのサイズだがファーストブレイクはトロめ。テイクオフをした後は、波が早いという癖のある波である。この手の波は、ボードの走り出しが早くないとはっきり言ってアウトだろう。遅い走り出しを持つボードであると、テイクオフしてホワイトウオーターにバーンとつかまってしまうかもしれない。
波が入ってきて、最初の波へのアタック。ボードがスーッと走る。テイクオフが早い。MADのMcFlyやBufoのUgly、そしてJavierのPantera系の早さだ。それを頭くらいの波でもやってしまうのだから、これは嬉しい。
早いテイクオフが終わると、波がいきなりレーシー(つまりブレイクが速いということ)になる。軽めのアップスダウンで、そのレーシーなセクションを越える。このボードはセクションを越えるのが得意であるのが、一発でわかる。スピード性能が高いからだ。
そのセクションが終わって、波がすこし切れて当てられる出来るショルダーが出てきた。その切れた波に合わせて当て込みをするために、ボトムへとボードをおろす。ボトムターンでためながら、トップへと。
"バーン!“
と音を出すようなトップアクションを試みる。ただし、トップの崩れ気味の場所の一番おいしいセクションは、当て込みをした場所の50cmくらい後ろにあったような感じだった。つまり、少しだけ走りすぎてしまったのだ。
ここで、自分が気づいたのはこのボードのスピードの速さ。スピードが速いので、もう少しボードをボトムターンの際に溜め込みをしても良いと感じた。これは、Super Charger仕様ということもありそうだった。後でちょっと理由も話すが、今回筆者が調整した空気圧の高さも理由にある。
Hydro FlexのラミネーションはSuper Charger(EPS+3Dエポキシグラッシング:空気調整機能付き)と、Natural(PU+3Dエポキシグラッシング)があるが、Super Chargerのほうがボードスピードが高い。Super Chargerバージョンでは、スピード能力が高いので、タイトなターンをするにはターンのタイミングが他のボードとは違うことを意識すると良さそうだ。こちらは、Naturalであるとまた感覚は違うだろう。
さて、インプレに戻ろう。トップターンの後に、今度は波がとろくなったのでカットバックをする。うなるようなスピードと、Hydro FlexのSuper Charger仕様の軽さ・・・ボードがまるで今まで無かったようなクイックな反応で、ホワイトウオーターに帰っていく。そして、ホワイトウオーターに当て込みをしてすぐにリカバリー。軽く、反発のある素材なのでリカバリーも容易だ。
最後は波が弱めながらも、アップ&ダウンを3回くらいしてフローターでフィニッシュ。
一本目から良かった。一番良かったと感じたのは、最初のテイクオフからの走り出しとスピード。サーフィンの基本のすべてはスピードと考える自分には、たまらないボードだ。
そしてもう1本バックサイドでのライドを書いてみることにしよう。
ピークへと戻り、今度はバックサイドの波を待つ。このブレイクの今日のコンデションだと、レギュラーが殆どなのだが、このブレイクはたまにバックサイドに走れる波があった。しかも皆狙っていない。理由はレギュラーのほうが長く乗れるから、皆そちらのほうに乗ろうとするからであろう。
そんな中、レフトの波を狙ってテイクオフ。自分の狙った波には、ほぼテイクオフ出来るその能力を発揮してくれるこの相棒はとても便りになる。
テイクオフをすると、まずは1つチェックターンをする。チェックターンをするために軽くボトムターンをするのだが、ボードのしなりが心地良い。チェックターンをすると、軽めのトップターン。そしてボトムに降りて、ボトムターンをする。
トップターンをして、
“あれ?ちょっとターンが硬い”
と感じた。んんん?何だろう?と思ったのだが、これは後で理由がわかった。サーフィン後にSuper Chargerの空気圧をチェックしたら、なんと6psiもあったのである。日本の波であれば、通常2〜3psi。柔らかいボードが好きな人は、1psiくらいでいいのである。実際、お勧めはしないが空気圧0でも、かなり乗り味や性能は良いという報告も受けている。
空気圧0psiをお勧めしない理由は、万が一の際の浸水である。このSuper Chargerは、フォームコアーがEPS素材。だから、空気圧が入っていない状態でボードがクラッシュをすると、水がボードの中に入ってしまうのである。
エポキシ巻きボードに慣れた筆者はEPSは嫌いでは無いが、何よりもその水の吸い込みが決定的なダメージを与えることがあるのだけは好きではない。
Hydro Flex Super ChargerはEPSの欠点を、空気を入れて圧力をかけ続けるという革新的なアイデアで解決している素材だが、空気圧が0だと実質ストリンガーレスEPSと同じになる。そでであると、Super Chargerのメリットが無くなってしまう。
最低でも1psiの圧力はかけることをお勧めする。
さて、先程の続きに戻る。圧力が6psiだったために、特にバックサイドでボードが走ってしまって、硬めに感じるターンになったのだが、そのスピードは素晴らしいものがあった。
最後のターンは、トップで当て込みをしたのだがその反発は今までのボードでは味わえない心地良ささえあった。ただし、この波で6psiは圧力が高すぎて、スピードが付いてしまうのでタイトなターンはちょっと難しかった。もう少し圧力が無ければ、更に良さそうなので次回は圧力を下げてテストしようと考えた。
●Day2●
場所 :千葉
風: 弱いサイドオフショア。面に問題無し
サイズ:胸〜肩 セット頭
さて、先日エアープレッシャーが多かった反省も踏まえ、今回はエアプレッシャーを3psiにすることになった。これでどんな乗り味になるのか・・・?期待と不安が入り混じる。
波は、台風のうねりの影響が残る千葉のとあるビーチ。右側の地形の整った場所では、チューブセクションもある。さすがにプロらも数名入っているので、一般サーファーの筆者はそこではなかなか波を取れないと判断。ピークを少しだけ外した場所でテストを試みた。波が良くても、波に乗れなきゃ意味が無い。
パドルアウトをすると、右側からダンパー気味ながら質の高い波が入る。切れた波を選べば、かなりのファンウエーブが取れそうだ。強めの流れがあるので、場所をキープするためには常にパドルをする必要があるが、それをクリアーすればあとは2〜3人しかラインナップしていない場所での素晴らしい波乗りになる。
まずは、最初の小さめのセットにテイクオフ。ちょっと波が早くて、ポジショニングに気をつけないとすぐにダンパーにはまってしまう波。最初の波はいけると思ったのだけど、テイクオフした後に2秒くらいして波がクローズアウト。なんにも出来ない波だったけど、テイクオフでのスムーズさと、その後のボードのフレックスは確認出来た。明らかに以前の6psiよりも、ボードが柔らかく感じる。いい感触だ。
Super Chargerは、空気でのフレックス調整が出来る世界でも稀に見ない最新構造のサーフボード。なんだか空気調整が面倒くさい・・・なんて考えている人は、日本の波ではほぼ1〜3psiの圧力であれば間違い無い。なによりも、空気が入っているので傷が付いてもボードのフォームには水が入らない。そんな素晴らしいボード構造なのだ。
さて、最初の波でフレックスの感触が良いことをつかんだので、次なる波を待つ。そしたら、右側から切れた波が入ってきた。
波に合わせてテイクオフをする。Robertのボードらしく、走り出しが素晴らしい。彼のボードは、MM-16・MP3・Ill以外は、ノーズにボリュームを残すシェイプだ。そのために、パドル・テイクオフがイージーなのだ。ただしノーズにボリュームがあると、乗った後にその場所が重く感じる不安を抱えるサーファーもいるだろう。
でも、Robertシェイプを試して欲しい・・・Robertの類稀なシェイプ技術によりノーズよりの重さは一切感じないのだ。そんなわけ無い・・・いや、一度Robertのシェイプに乗ってみれば分かるのは間違い無い。
波にテイクオフすると、ボードがスピードを上げてセクションをクリアーする。波が崩れてきて、目の前にホワイトウオーターが見えたのだが、その上に乗ってフォームクライムをする。スピード性能が高いボードなので、そのホワイトウオターセクションも 楽々クリアー。そして、その後に当て込めるセクションが出てきたので
"ブーン!”
と当て込みをする。たった2回のアクションだけど、このボードの
・スピードの高さ&スピードに乗って止まらない
という素晴らしい点が際立った。一点だけ指摘するとすれば、スピードが高いからタイトにポケットに留まってサーフィンするのは多少技術が必要だということ。ただし、波が不規則に崩れるビーチやトロ早い波であるとその性能は逆に+に働く。今まで乗り越えられなかったセクションも乗り越えさせてくれる。
その後スピードの高さと、ノーズの軽さを味わいながら何度も波を楽しんだ。
最後に、本日一番のセットに乗った時の印象を書こう。
最初に2本セットの波をスルーしたのだが、そのおかげでピークよりのサーファーが波に乗っていてピークには筆者とあと一人。だから、次の波は1/2の確立で自分のポジションにあった。波が来ることを心から祈っていたら、波がやってきた。しかも、波は切れている。
自分の右側に一人サーファーがいたのだが、彼よりも自分のほうが波のピークに近かった。この波は絶対に取る!という意気込みで、全力でパドルをする。ちょっとだけ、ポジションがアウト過ぎて簡単には波には乗れなかったが、どうにかテイクオフ。レイトテイクオフ気味だったが、肩〜頭サイズの掘れた波でも安定性したテイクオフで、ワイプアウトはしなかった。そのテイクオフをクリアーした後、軽くボトムターンをしたら、波が切り立ってチューブになりそうなセクションが出来た。
右手でストールをして、そのチューブセクションに自分の体を合わせる。そしたら、ほんの1秒ほどチューブになった。チューブで潰されそうになったが、ボードのスピード性能が高いので潰されること無く、チューブから出てくる。素晴らしい・・・
その後カットバックをして、波のパワーゾーンに戻る。そして、インサイドセクションでアップ&ダウンを繰り返し、最後は軽いローラーコースター。
実を言うと、このRobertsのBlack Dump Trackは最初あまりフィーリングが合わなかったボードだった。圧力をかけすぎていたのだろうが、ボードのフレックスが硬く感じられたし、スタンスもイマイチ合わなかった。
ただし、乗れば乗るほどボードに慣れてきて、どうすれば早い走り出しになるかなども分かるようになり、スタンスも決まってきた。はっきり言って、このボードは調子良い。Panteraの時もそうだったのだけど、それぞれのサーフボードの乗り味に慣れることも必要だと強く感じたのだ。
●Day3●
場所 :千葉北
風: 弱いサイドオフショア。面に問題無し
サイズ:腰〜腹 セット胸
テストの3日目は、近場のビーチブレイク。夏なのに、珍しく西高東低の気圧配置が決まってスーパークリーンな海面。空気も冬のように澄んでいて、気持ちの良い波だ。波は最初頭近くあるかな?と思ったのだけど、そうでも無く腰〜腹。そして胸がメイン。たまに肩サイズが入ればラッキーだが、大きめの波はクローズアウト気味だった。
筆者はこのビーチは、実は得意では無い。ファーストブレイクはパワーがあるような感じがするのだが、テイクオフすると波がポヨンポヨンしていて、サイズも急激に下がる。テイクオフの場所も、ジャストにしないとトロくて、そして速い波につかまってしまうのだ。
大き目の波は、ダンパー気味なので小ぶりのサイズの波を中心にピックアップしてサーフィン。
今日の最初の波は、割れそうで割れない小ぶりなセット。猛スピードでパドルをして、斜めテイクオフを試みる。
テイクオフをすると、波がオープンフェイスを持っている。そこで、自分が考えていたボトムターンをする。今までのボトムターンよりも、少しだけ待ってタメを多くしたボトムターンを試みた。ボトムターンはすべての技の基本であり、あるプロ曰く
"自分のしたいタイミングよりも、少しだけ待ってタメを多くするボトムターンを心がけよ”
ということだったので、筆者もそうしてみた。そしたら、ボトムターンの後の伸びが今までとは一味違う。トップへと上がるスピードがキープされていて、失速は無し。トップではいつもより素早い切り替えしが可能だった。
その後は波が意外と掘れていて、レーシーなセクションがある。そこで、ボードをアップ&ダウンさせながらそのセクションを走り抜ける。
早めに崩れるセクションは、ボードを上下にスムーズに動かす必要がある。このボード上下にスムーズに動いてくれてそれでいて、コントロール性能とスピード性能が高いから掘れているセクションに巻き上げられてワイプアウトなどしなかった。
最後は、波がクローズアウトしそうだったのでそこでボードを当て込みをしてフィニッシュ。
この後何度も波に乗ったのだが、とにかく
@テイクオフが檄早いということは無いが、走り出しがスムーズなので思ったより波に捕まらないでテイクオフをクリアー出来る
Aボードスピードがキープ出来るから、速いセクションにつかまりそうでつかまらない
と言うことを感じた。特に@の点は同じRobertsのWhite Diamondと少し特性が違うテイクオフの走りだと言うことを強調したい。
White Diamondはドッカンターボ系のテイクオフ。テイクオフして走ると、もの凄いスピードで走り出す。これに対して、Black Dump Trackはナチュラルな走り。ドッカーンと走るのではなく、スーッと走り出すボードである。そんな特性があるから、White Diamondは小波系で、Black Dump Trackはももから頭半まで使いやすいのだろう。
今日の波は得意な波ではなく、通常は苦戦してしまう波だったがやはりいいボードなので、楽しめるセッションとなった。なんと、今日の波でもインサイドのチューブカバーアップも可能だったくらいだ。前回の時のインプレと同じく、スピード性能が高く、そしてそのスピードをコントロール出来るボードなのでチューブインしてもなかなか潰されないのだ。
●Day4●
場所 :千葉
風:オンショア。面は少しガタガタ
サイズ:膝〜腹
本日の波はDay 3と同じ場所だが、波はオンショアが吹き付けて面イマイチ・ダンパー気味の波のコンデション。横にやっといける・奇跡の1発くらい。テストとしてはどうか?なんだけど、週末サーファーの方は波のコンデションを選べない場合も多いと考え、今日のようなコンデションでも参考になるのでは?とテストをしてみた。
ピークは1箇所あり、基本ダンパーなのだが切れに切れた波を選べばつなげる波がありそうだ。波のサイズもかなり小さいのだが、とりあえず誰もサーフィンしていないのでアウトへと。
アウトへと出ると、波が重なり気味でなかなか切れたショルダーを見つけるのが難しい。とりあえず、何本か切れていそうな波に乗っても、やっぱり基本はダンパーだった。ただし、このボードの走り出しのよさはこのコンパクトな波でも健在で、タイトなスペースながら走って1アクション手前まで出来る。たぶん、その走り出しは通常のボードと比べて0.1~0.2秒とかいう世界。ただし、そのわずかな走りの違いが、大きな違いを生みそうな感じではある。
20分もサーフィンをしていると、稀な切れたショルダーがある波が入ってくる。その波にテイクオフ。波は小さく、テイクオフすると膝くらいだろうか?それでも、走れる場所がある波だったのでスタンドアップして、波を横に走っていく。
軽いアップダウンをすると、ボードがうなるようなスピードで走りを続ける。しかも、ボードの反応が高く、ムギュムギュとしたボードの感覚が心地良い。そして、最後に波が崩れてそこの当て込みをしてフィニッシュ。
こんな小さな波・あまり整わない波であっても、一瞬の隙を見つけて乗れる波を探すことが出来た。テールが幅広かつ、スピード能力の高いシングルコンケーブなので力の無い波でも、スピードをキープ出来るのが素晴らしい。
いろいろな意見があるだろうが、筆者は平均的な日本の波は、ボードのスピードが第一だと思う。今日のようなコンデションでも、そのスピード性能があれば、スピードを出すためにフンフンと踏み込みをせずにボード自体からスピードを出してサーフィンが出来るのだ。そして、ターンをするごとに加速・・・そんなサーフィンスタイルがとても心地良い。
その後、本当に稀に来る切れた波を5本ほど堪能した。あまり整わない波でもボードが使えることが判明した嬉しさと、オンショア小波でも楽しめた事実で素晴らしいサーフタイムを満喫。ボードチョイス次第で、どんな波でもファンな時間が過ごせることが証明されたのだ。
●Day4●
場所 :千葉北
風: 弱いオフショア
サイズ:腰〜胸
波質:面は綺麗。アウトの波はトロ目、インサイド側のほうが走れるショルダーあり。
テスト2日目は、前回より海面は綺麗なのだが、波に癖があるコンデション。アウトで一度トロトロと割れて、そしてインサイドでドッカーンと割れる波がある場合と、アウトでは割れずにミドルからうまくつながる波があった。
筆者はミドル側の波に標準を合わせて、海のアウトで波を選ぶよりもインサイド側にて波を待つことにした。波は綺麗なのだが、ショルダー短めの波が多く波を選ぶことに苦戦。だが、何本かそれなりに繋がる波もあったのでその感想を書こう。
アウトで割れ切れずに、ミドルにて割れ波に合わせてテイクオフ。
Robertsのボードデザインの特徴の
”ノーズよりの頼もしいボリューム“
により早い走り出しのテイクオフを堪能する。”ノーズよりの頼もしいボリューム“は、Ill、MM-16、MP3以外のボードに共通するRobertsボードのデザイン。通常のシェイパーのボードだったら、
“ノーズよりにボリュームがあって邪魔だ”
と感じてしまうところだが、さすがはRoberts。そんなことは一切感じないし、ノーズも軽く動く。
テイクオフをクリアーして、軽いチェックターンをすると波が掘れてくる。その掘れた波に当て込みをするために、タメを付けたボトムターンをする。ボードが確実にホールドするので、スピードをすべて溜め込めるターンが出来るのもこのボードの素晴らしいところである。
そしてボトムターンの後に、パワーの効いたトップターンをする。トップの切れ目にうまく当てこみが出来たので、
”バシーン!“
とボードが返る。素晴らしいトップToボトムのターン。ボトムターンから、トップターンまでの間失速をしないので、トップでのパワーが素晴らしい。
そして、スピードが切れないままにインサイド側へとボードが走る。
波がとろくなってきたので、スピードをキープしたままにカットバック。そのままホワイトウオーターに当て込みをしたら、波が無くなってしまった。ただし、波がもう消えそうな場所でもスピードをキープしたままにカットバックが可能だったのが印象的だ。
このスピード性能と回転性のバランスは、今までのショートボードには無い性能である。RobertsのライダーのMatt Pagan曰く
”このBlack Dump Trackは俺の一番好きなボードの一つだ。ボードがタイトに波にフィットする。ドライブ性能・回転性などすべてが高い次元で融合されている、新しいタイプのショートボード。“
と絶賛している。
筆者もこのボード素晴らしいと思うが、Mattとは違った観点もある。
@通常の細いハイパフォーマンスに乗れない波でも乗れる・走り出しが早い
A日本の平均的なコンデションでは、通常のハイパフォーマンスボードよりよりタイトにターンが出来る(短めに設定できるため)
B乗り味がソフトで安定しているので、初級〜中級者からプロレベルまで乗れる
というアマチュアの日本在住サーファーなりの感想を持った。
同じような波に何本も乗ったのだけれど、そのスピードとコントロール性の良さ・安定感のバランスは素晴らしい。レールが細すぎないので、カチャカチャとした動きすぎるサーフィンよりも、しっかりとしたターンをする動きを目指すサーファーにも最適だろうと感じた。
●Day5●
場所 :千葉北
風: 弱いオフショア
サイズ:もも〜腰
波質:面は綺麗。インサイドで早めのダンパー気味の波
さてテストの5日目は、スモールなコンデション。どこも波があまり無く、どうにか走れそうな地形のある堤防横を選んだ。ただし、誰もサーファーがいないということを考えれば、面が綺麗だという以外あまりいいコンデションでは無い。
今日は、波が少なかったので10本くらいしか走れる波が無かったのだが、走れた波での感想を書こう。
セット間隔がとても長かったのだが、選んで切れている早い波をチョイスすれば問題なく乗れた。テイクオフは通常のハイパフォーマンスボードよりは1タイミング早い。この1タイミングのテイクオフの早さが重要で、通常のボードであれば乗り遅れてしまった波も取れたのがこのボードの性能の高さの一つだと感じた。
そして、何よりも走った後のスピード感。軽いアップ&ダウンをするだけで、ボードが素晴らしいスピードを出して突っ走って行く。インサイドではもうくるぶしくらいのサイズしかないのじゃないか?と思うのだけど、それでもボードが止まらずに走るのだ。
だから、細いハイパフォーマンスボードの不満で聞く
“波が小さくなったり、フラットなセクションでボードが止まってしまう”
ということが無くなる感じだ。
どんなセクションでも走り抜く力がボードのデザインにある。素材のフレックスも多大に影響していると思う。
横走りをしなければ波に捕まってしまう波。だから、アップ&ダウンをして最後に当て込みをする程度の波なのだが、ボードの性能の高さが十分味わえた。筆者は腰位からこのボードは本領発揮すると感じているのだが、素晴らしいことに本日のような小波系でも使えるのだ。
ちなみに、RobertsのBlack DiamondはこのBlack Dump Trackの兄弟ボード。Black Dump Trackをダイヤモンドテールにすると、Black Diamondになる。つまり
@テールがSquash=Black Dump Track
AテールがDiamond=Black Diamond
となる。乗り味の違いだが、SquashテールのBlack Dump TrackのほうがレールラインがBlack Diamondよりも長くなるので、しっかりとしたターンとトップでの反発が特徴。逆にBlack Diamondのほうがレールラインが短いから、同じサイズにしてもBlack Diamondのほうがより動きを重視した設定となり、トップでのテールの抜けも良い。スタイルに合わせて選んでくれれば良いだろうし、2本持っていても損は無い性能を発揮してくれる。
ボードは基本は3フィンの設定。だが、カスタムオーダーであれば5フィンボックスで3フィン・4フィン・4フィン+Nubstar Finという幅広い設定も楽しめる。フィンの設定だけで、サーフボードの性格が全く違ったフィーリングになるので、いろいろな乗り味を試してみたい方はカスタムオーダーでの5フィンボックスをお勧めする。
Roberts Black Dump Track・・・ このボードはローカルヒーローから、CTレベルサーファー。そして、中級レベルの栗田まで絶賛。
そして、このボードは本当にうまくなりたい人のためにも役に立つボードで、必須のボードタイプ。ハイパフォーマンスボードよりも多くの波に乗れ、ミニボードほど動きすぎないのでターンの練習に最適。ステップアップの人のためにも、是非お勧めできる素晴らしいモデルこそがこのBlack Dump Trackとなる。