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コンケーブデッキと、XTR素材の軽さ・モダンなボトムデザインが"もっと乗り込みたい!”という中毒性を生むRNF
定期的にJavierと日本で、電話の連絡でサーフボードについて協議しているのだけど、
“T-Rexのようなラウンドノーズタイプで、よりショートボードに近いボードって作れないのだろうか?しかも、難しいボードではなく初級〜中級レベルから、上級レベルでも楽しめるボードってある?
今、日本では様々なボードに乗って楽しみたいという人が多くて、以前のようなポテトチップスショートボード(薄いハイパフォーマンスショートボードのこと)だけでなく、イージーに波に乗れて新しい乗り味を体感させてくれるボードが必要なんだ。過去のデザインも生かしながら、モダンなデザイン+素材をあわせていいボード作れないかな?“
と問いかけをした。
Javierは、良いアイデアがあるらしい。僕も、同じように日本の波質やサーファーのスタイルを詳しく説明をした。
僕らは、ノーズが丸くボリュームがあるボードのテンプレートと、幅広のテールを持つショーとボードのテンプレートをCADプログラムで掛け合わせたらいいのでは?という結論に達した。
そして、とある6月の出張中にJavierが日本側からのリクエストを踏まえたボードをデザインしてくれていた。
ボードの名前はDragon CD(ドラゴンCD)。すでにロゴまで作られていた。
ボードはコンケーブデッキ(Concave Deck:だからモデルの語尾にCDが付いている)のラウンドノーズ系のボード。コンケーブデッキは、乗ったことが無い人も多いだろうがイージーな乗り味かつパフォーマンスを出せる素晴らしいデッキ構造である。実は筆者も、このボードに乗る前はコンケーブデッキについては乗ったことが無かったのでわからなかった。シェイパーによれば大きくまとめると、利点は2つある。
@レール付近にボリュームが出る形状なので、パドルが安定してテイクオフもイージーとなる。
Aデッキ部分は、レール部分よりも凹みがあるので足を置く場所がより水に近くなって、節水面と重心が近くなるためにコントロール性能が増す。
フラット気味なデッキも上の@Aの効果に近いものがあるが、コンケーブデッキであればその効果は更に高くなる。
テール部分には、Javier曰く
"スーパーテクニカルなデザイン“
を施してあって、テールのダブルエレベーターウイングがまるでジェット機の羽+コントローラーのような役目を果たす。
ダブルエレベーターウイングとは、デッキ側とボトム側の2次元方向から、エレベーターウイングを施しているデザインだ。 これにより、レールロッカーが高まり、水の抜けも良くなるという優れもののテールデザインとなる。幅広のボードをより、コントローラブルにする工夫なのだ。
コンケーブはモダンはシングル〜ダブル〜薄いVEEを施したコンケーブ。写真を見ただけで(特にその影がかかっている場所と、そうでは無い場所を比較して欲しい)そのデザインの融合度合いがわかるだろう。
素材は、XTRのSL(Stringler Less)構造。XTRの新しい構造で、ストリンガーを完全に無くしセンターには高密度のブルーフォームを施したタイプ。通常のクロスのパターンは、ボトムに4OZ×1に、ブルーフォーム部分に軍用レベルの特殊クロスを入れている。デッキは4OZ×2となる。
軽く、そしてしなり、しかも扱いやすいのが特徴のボード構造。ボードが波の斜面にあわさるようにしなるので、掘れた波からトロイ波までの対応幅が非常に広い。
新しいデザイン+最新ボード構造+特級の素材・・・これは非常に楽しみだ。
このボードのプロトタイプバージョン(5'8" 1/2"0-20 5/8"-2)にも乗ったのだが、良い感じだったのを覚えている。ただし、テールがもう少し軽く動いて欲しいと思っていたのと、こちらは完全に浮力オーバーだった。自分用のサイズ+微調整をしてもらって、さあCAにてボードをピックアップだ。
初めて触った感触は、自分が今まで乗ってきたRNF形よりも明らかに全体にボリュームがある。コンケーブデッキの形状は、レールから2〜3インチ入った場所にボリュームがあり、レールの先は通常のパフォーマンスボードの丸めのソフトレール。
そして、エレベーターウイングスワローテールという特徴のあるテール形状が、かっこよさを更に演出している。
’
最初は
あまり動かないゆったりと乗るRNFなのかな?
と思ったが、乗ってみると良い意味すべての面で裏切られた。そのインプレをこれから書いていこうと思う。
【Day 1】
場所:Oceanside Harbor South Side Jetty
波:胸〜肩。セット頭オーバーで、チューブあり。インサイドでは腰くらいの波もたまに割れている。
風:オフショア
テストの最初の日は、波が整った。南うねりで、風も弱く、そして高い質の波が割れていた。RNFタイプのボードとしては、波が大きすぎる?なんても思うのだが、それは試して見ないとわからない。今日は混雑が激しいので、セットをくらうのを覚悟してインサイド狙いというのも悪くない。
ワックスを塗って海にアプローチする時に、Javierと偶然出会った。彼は、この前のISAの大会時に使ったボードを更に改良した“Pocket (ポケット)”というボードを持っていた。このボードも、コンケーブデッキを持つボード。こちらは、ポイントノーズなのでこのDragonとは全く正確も違いそうだ。そのPocket CDのインプレは次回にするとして、まずはこのDragon CD。
アウトに出ると、Jettyのトップはドチューブを巻いている波も割れている。ピークでは、あのChemistry SurfboardsのJason Benetがエアー360をするほどのサーフィンを見せていた。いわゆるセッションだ。
セットの間隔は、南うねりらしく長いのだが、セットに乗ったら200mは乗れるんでは?という波。海の中のレベルはかなり高い。 私は、インサイドでコンパクトに割れる波を狙った。たまに、セットを食らってつらい思いをしてしまうのだが、あの混雑ピークではなかなか波もとれなそうだ。
インサイドで波を待っていると、レギュラーに乗れる波がやってきた。パドルをして、波に乗る。この瞬間がテストでは緊張するのだが、とてもスムーズかつ走り出しの良いテイクオフをしてくれた。
波は少し厚めでトロイのだが、ボードのバランスが良い+ストリンガーレス構造効いているので、とにかくトロイセクションでもスピードの乗りが素晴らしい。
最初にトリミングをして、波のトロイ場所でカットバックをしたのだが、カットバックもスピードをロスすること無くトップスピードで波のパワーゾーンへとボードを持っていけるのが嬉しかった。
カットバックの後も、波は厚めだったのだがボードを踏み込むたびにスピード付くのがわかる。これなら、少々波がとろとろだったり、厚かったりしてもボードがグイグイと進み、スピードがキープできる。ちょっと踏み込むだけで良いのだ。
最後に波がクローズアウトするので、ボードをクローズアウトセクションへ当て込む。その当て込みの際のボードの軽さは、このボードの浮力(30リッターくらい)とはまったく別次元の軽さを見せてくれる。この軽さは、新開発のXTR Stringerlessと、その優れたテールエリアのデザインのおかげ。
最初の一回のライドで、前回のボード(サイズは5'8" 1/2")のフィーリングを大きく上回る。波のサイズがあったので、それなりの波のサイズでもボードが機能することがわかった。これは、BufoのBoggie Fishも同様なのだが、最近の短めボードは侮れない。小波から、それなりのサイズ(頭オーバー)でも十分乗りこなせるのである。
次のライドはレフト。素晴らしい走り出しと、スムーズな乗り味。この特性は最初と同じである。通常の先の尖ったショートボードとは違い、より軽く体重をかけるだけでボードが走っていく。ボード自体がスピードを出してくれるようだ。センターエリアは、ボリュームのあるフォイル(形)をしているので、軽めの前足体重でスピードが出せ、リアーエリア(フィンのあるエリア)に体重をかけると、ターンが軽く行える。
短めのボードなので、通常のサーフボードよりもワンテンポ速めにターンを行うイメージが良い。そうすると、このボリュームにしてタイトなターンが可能になることもわかった。
そんなことを思いながら、バックサイドでインサイドまで走っていく。スピードが簡単について、乗り味も簡単。楽しむのには最高のボード。テールも軽めに動く。レールボリュームからすると、想像とはまったく違った乗り味なんだ。コンケーブデッキのその威力を思い知った最初のテストであった。
良い感触・・・そんな1回目のテストだった。
【Day2】
場所:Ventura, C-Street
波:胸〜肩。セット頭オーバー。テストしたエリアは胸くらいがメイン。
風:微風
テストの2回目は、Venturaのシェイパーとの打ち合わせの後の午後。Robertとのボードミーティングの後に行った。
有名なカリフォルニアのクラッシックブレイクである、California Street(通称C-Street)にてテストをした。ここは、冬の北のうねりも、夏の南のうねりもキャッチするブレイクで、全長1kmはあろうかという広大なポイントブレイクである。
このポイントの一番奥がショートボード好みの早い波なのだが、今日はどこでも楽しめそうだ。早速ワックスアップしてパドルアウトをする。
波はテイクオフが掘れ気味になる波。小さいながらもきちんと規則的に割れてくる。こういったブレイクはテストの最適である。規則的に波が同じように割れるからサーフボードの特性がつかみやすいのである。同じようなターンを何度もすることが出来るから、ボードのターンの質を理解しやすい。不規則なブレイクが多い場所よりも、一級シェイパーが規則的なポイントブレイクが近場にあることを利点に挙げることが多いUSのシェイパー達もよくそんなことを言っている。
Dragon CDは基本ハイパフォーマンスのRNFとレトロフィッシュの中間の、いわばいい取りのサーフボードデザインだ。浮力も無さ過ぎず、過激すぎず。Weekendサーファーの楽目のRNFとして、そして上級サーファーのクルーズ用としての性能が最大に出せるようにしている。今日はその性能が十分感じられるサーフセッションだった。
最初の波に乗って、軽くアップ&ダウンをする。このアップ&ダウンの時の性能が、サーフボードの性能を体感する一つの指針になるのだが、この時に
“このボードは素晴らしいボードだ。高い性能・楽しめるサーフボードとしての基礎的な素養を兼ね備える”
と確信を更に深める機会となった。
とにかく、このボリュームにしてアップ&ダウンの動作が軽い。しかも、ボトムで軽くターンをすると、スピードをロスすること無くトップへとボードを持っていけるのだ。このアップ&ダウンをしていれば、どこまでも走っていけそうな雰囲気さえあるのだ。カリフォルニアタッチの軽い操作感と、ドライブ感があふれる乗り味・・・そして、コンケーブデッキの安定性。そのユニークな乗り味は、他には無い素晴らしさを体感させてくれる。
良いボードのまずの条件は
"走りの性能が高い&その走りに動きが加えられること"
である。走るボードは動かない。動くボードは走らない。それでは良くない。走りとターンのバランスをどれだけ融合できるか?それがシェイパーに与えられるシェイプ・デザイン・素材のチョイスの課題である。
もちろん、走りがやパドル、テイクオフがロングのようで、ターンがショートになるボードは無い。物理的な制約もあるからである。ただし、ショートとしては圧倒的に速い走り出しと、細いショートに近い動かし度合いのバランスの最高到達点は高めることが可能である。
レトロのような鈍重さは一切無い。かと言ってハイパフォーマンスボードのように、動きが繊細過ぎない。休日を楽しむのに最高なボード・・・それがこのDragon CDなのだ。
インサイドでは波がクローズアウトするので、そこできちんと当て込みも出来る。Javierは素晴らしいボードを削り出すが、最近になって更にいいボードを作るようになった。このボードも彼の素晴らしいボードデザインの1つだ。
このボードのテイクオフの特性もつかんだ。テイクオフについては、バランスの高さが光る。超浮力系のMongo Fishよりは多少劣り、通常のショートよりは安定していて上。
得意なタイプの波は、とろい波・弱めの波。ただし、急に掘れあがる波もテイクオフの際にはきちんとしたタイミングを測るときちんと乗れる。筆者が思うに、皆さんが一番気になるテイクオフ性能・ターンの性能の10段階中評価はこの時点で
テイクオフ性能:7.8点
パドルの楽度合い:7.8点
ターン性能:7.5点
ちなみに通常のハイパフォーマンスショートの基準は
テイクオフ性能:5点
パドルの楽度合い:5点
ターン性能:9.5点
くらい。超浮力ボードは
テイクオフ性能:9点
パドルの楽度合い:8.8点
ターン性能:5点
くらいとしている。
【Day3】
場所:Carlsbad, South Jetty
波:腰。
風:オンショア
さて、California でのDragon CDの最後のテストは今までのコンデションより整っていない波だった。だが、実際こういった波でもサーフィンすることは日本では多いだろから良いテストなる。
波のコンデションはと言うと、ロータイドに近くて・ダンパー気味。そしてジャンク気味な波だったので、誰も海には入っていない。パドルアウトすると、強めのカレントが自分の左から右へと流れている。そして、波に切れ目を見つけるのがとても難しいコンデションだった。
そんな中でも、何本か切れ目を見つけてどうにか波をピックする。難しいガタガタな波だが、きちんとテイクオフをして、サーフィンで一番基本のスピードを保つことが出来る。そして、このストリンガーレス構造の素晴らしいところで、波のガタガタをその柔らかさで吸収するようにフレックスする。筆者は、このDragon CDのような厚めのボードでは、ストリンガーレス構造(またはストリンガーレスカーボン)が最適な性能を発揮すると考える。
何故ならば・・・
@全体的にボリューミーなボードなので柔らかめのフレックスが重要(ただし、きちんと反発もする素材)。
厚めのボードで、硬いフレックスの取り合わせはボードの性能をダウングレードさせる。反対に、厚めボードでも、最適なフレックス(柔らかいだけでなく、きちんとした反発が得られる)であると、その性能がアップグレードされる。
Dragon CDとストリンガーレス構造は、まさにベストマッチ。もちろんセンターストリンガーでもDragon CDの素晴らしさ体感出来るだろうが、ストリンガーレスだと更にバージョンアップするのである。
ボードは薄めのシングル〜ダブル〜VEEなので、波のバンプがあってもボードの性能が左右され難い。コンケーブはスピードを出す役割をするのだが、アウトラインが幅広なのでアウトラインとコンケーブでスピードを得るデザイン。細いボードのように、コンケーブを深めに入れなくても良いのである。
今日は波が悪かったのでサーフしたのは1時間くらいだったが、それでもボードの性能は十分感じ取れた。特にその柔らかい乗り味が、今日のジャンクコンデションで威力を発揮した。いいボードだ。
Day 4
場所:Oceanside Harbor South Side Jetty
波:もも〜腰
風:軽いオンショアだが面に問題は無い
さて、CAでの最後のテストリポートはお馴染みの場所のOceansideのNorth Side of Pier(ピアの北側)だ。このエリアの波は、日本に住んでいる筆者が日本向けのテストをするのに最適。今千葉に住んでいるが、このエリアにも約3年間住んで、毎日のようにサーフしていたのでその波質の類似性は体が覚えている。日本の波にとても近い波質だ。だから、Oceansideのビーチブレイクで使えるボードは、ほぼ日本でも使える。ほんのちょっとのチューンナップで済むのだ。
ボードの素材やデザインが、生まれてくる土地によって変化するのは世界中からのサーフボードを輸入し、触って乗ってきた筆者には良くわかる。カリフォルニアから出てくるデザインや素材のボードは、カリフォルニア独自の香りがするし、AUSはAUSのボード、HawaiiはHawaiiボードの雰囲気がある。
筆者は、通常カリフォルニアのボードしか乗らない。カリフォルニアのボードは、ソフトな波でも軽いタッチで動かせるボードが多く、そして素材も世界でも多彩なものがある。また素材は、軍需産業から派生した素材が数多くカリフォルニアにはあり、XTRもその恩恵を受けている。派生産業が無い場所だと、やっぱり多くの素材は試せない。それは、他の土地とのサーフボード素材を比べれば明らかである。
ある土地では、カーボンやケブラーを手に入れるのさえ困難だったり、近くに素材が無いので遠くまで仕入れ(はたまた輸入)ないとならない場所も数多くあるが、カリフォルニア(特に南カリフォルニア)に限ってはそのサーフボードファクトリーの立地を最大に生かしていると言えよう。
XTR素材の開発者のJavierは、
“素材によってサーフボードのフレックスをコントロールする”
ことに、全力を尽くしていると言う。そのフレックスマネジメントは、すべてカリフォルニアから生み出される最新の素材が可能にしているのである。
さて、本日の波はこのCA滞在の中ではパワーも少なく、サイズも小さめだった。今までのコンデションより良く無いが、こういった状況でもサーフィンする機会はあるだろうから、いいテストだと考えていた。
アウトに出ると、セット間も長い。前回のこの場所でのテストよりも人が少ない。早速波が入ってきたので、テイクオフを試みる。
ボードの走り出しやテイクオフのスムーズさは、本日のような小さい波でも変わらなかった。ボードが波の力をすべて受けているかのような、パワフルな走り出しをする。丸いノーズと、幅広アウトライン+コンケーブデッキのその組み合わせが、波の力を存分に生かす。
乗った後も、その走り・ドライブ性能の高さは素晴らしい。他のボードと違って、ボード自体がスピードをそのまま持って走るように感じる。ボードをプッシュしなくても、軽くアップ&ダウンするだけでボードがスムーズに走る。
この手のボードは、ボードをフンフンと踏み込むよりも、波にあわせてボードを優しくコントロールするのが巧く乗るコツだ。余裕を持ったレールターン、深さを意識したボトムターン、水流を感じながらのカットバック・・・すべての動作に余裕と優雅さを出せるボード。それがこのDragon CDだ。 ただし、踏み込みで加速したいサーファーも、テール加重でその動作が行えることが嬉しい。ドライブしながらも、それでいて軽いタッチも見せてくれる・・・そんなボードがこのモデル。
この波は小さめかつショートだったが、そのショートな波でも最後はきちんと当て込みも出来た。通常の先が細いショートでは味わえない、小波・弱い波でのドライブ感・走破性はなんとも言えない。もちろん、先細のショートよりもノーズエリアの幅広さは感じるが、それもRNF系ボードの深い味わいというべきか?乗り方としては、先細ショートよりもワンテンポ早めにターンなどを意識するとボードをうまく乗りこなせるだろう。スピードが1タイミング早いからだ。
【Day5】
場所:千葉エリア
サイズ:腰
風:ややオンショア
波のコンデション:うねりバラけ気味。ガチャガチャではないので、ショルダーを見つけてサーフィンは可能
さて、本日のテストは、あまり波が整っていない千葉の一般的なビーチブレイク。最初は海に誰も入っていなかったし、波もイマイチなのでテストを止めようか?とも思っていた。だが、CAでのテストのイメージがあまりにも良すぎた。すぐに乗りたくなったために、今日のボードテストとなった。
沖に出ると、早速やや形の良い波が入ってきた。そこで早速テイクオフをすると、早めで短いながらもショルダーがある。
”これはサーフィン出来る“
と喜びとともに、斜めにテイクオフをする。Dragon CDのテイクオフは、
”滑り出しの速さが特徴“
という表現が正しいだろう。Mongo Fishなどの超浮力系より劣るが通常の一般的なスタンダードなショートよりは、明らかに早いし、波の奥から乗れる。通常の先尖りのショートが、うねりからは厳しい時でも割れない場所から走ってくれるからとても重宝する。
ちなみに、筆者が気に入っているボードで比較すると
Mongo Fish
Tron
Dragon CD
Pantera=Verminator
White Diamond/Modern 80’s
Black Dump Track/Black Punt
ILL/MP3
SB The AXE/The PIC
というような走り出し順になる。
いわば浮力+系(JHPのPanteraやMADのVerminator)などの部類に入る65kg前後の中級者がCL値30リッター付近で乗るボードとなる。 この浮力+系のボードのパドルの楽度合い+テイクオフの早さと、動きのバランスを侮ってはならない。筆者(体重68kg)は通常のパキパキのハイパフォーマンスは24リットル台のボードを使うが、30リッタークラスのボードは、
”パドルと波取り、そして乗った後の動きの軽さ“
の高い次元の融合を体感させてくれるのだ。24リットルクラスのボードには負けるが、同じようなターンの質は出来るし、何よりその余裕が嬉しくサーフタイムを楽しくしてくれる。
浮力はアリ目なのだけど、けっこう軽く動きリップアクションも可能
という新しいジャンルなのである。
週末で混雑した場所に入るサーファーや、1ラウンド目はハイパフォーマンスで2ラウンド目は疲れて来た。だから浮力+系で乗りたいという場合にベストマッチ。世界各国の多くのシェイプに何百本と乗ってきた筆者が、自信を持ってお勧めする
さて、波に乗った後はテイクオフ時の波のサイズよりもガクンと下がり、膝並みで弱め。 だけど、ボードがきちっとドライブして軽いアップ&ダウンで素晴らしいスピード感を持ってセクションを飛びぬけていく。
波のパワーが無くても、レール付近にボリュームがあるコンケーブデッキなために、スピードをつけるための前足加重でもボードが沈み込まない。 スピードをつけるために、踏み込むたびにスピードがグイグイと出て行き、ボードが加速するのだ。
昨日のテストでもそうだったのだが、波がインサイドの膝以下の時でも、ボードが止まらない。とにかく、スピード&ドライビーなボードでちょっとでも波のサイズがあればどこでも走って行くイメージだ。しかも、軽いタッチで動かしながら・・
そして、インサイドでのフィニッシュ。きっちりとボードの先が飛び出すクリーンな当て込み。締めの技の動きも軽い。 このボードは調子良い・・・CAで、そして日本で多くのテストをして確信をした。
ちなみに、デザインでは2タイプある。
@筆者がメインに乗っている”シングルウイングスワローテール“
と
A以前のテストで使った+シェイパーのJavierが乗る”シングルウイングスカッシュテール(またはスクエアーテール)“
である。
違いはウイングスワローとウイングスカッシュ(またはスクエアー)で違いはそれほど無いのじゃないか?と思うかもしれないが、乗ってみて違いがある。
まず、ウイングスワローの場合はウイングで切る位置が高いので、ターンのきっかけがつかみやすい(よりコントロールしやすい)。スワローテールは、水の抜けが良いのでルースにターンが可能となる。
逆にウイングスカッシュの場合は、ウイングスワローバージョンよりも、ウイングを切る位置が低い+テールのエリア(つまり面積)が比較として広くなるので、よりドライブ感に優れたボードとなる。全体のフォームも確保できるために、テイクオフも若干なが早くなるのである。
上の選択はユーザーが選ぶことが出来る。動きのスワローに、ドライブのスカッシュOrスクエアーなのだ。動きかドライブか・・・ちょっとの差異なのだが、チョイスが可能となる。
【Day6】
場所:千葉エリア
サイズ:やっと横にいけるくらいのひざサイズ
風:オフショア
波のコンデション:千葉北典型の冬の綺麗なオフショアの波だが、誰もサーフィンしていないくらいの極小サイズ
さて、本日は今までのテストの中で一番サイズは小さかった。パワー無く、周りにはショートボーダー&ロングボーダーなどは誰もいないほどだった。普通だったら、サーフィンもしないだろうけど、オフショアで整えられた綺麗な海面と、関東エリア特有の冬晴れに引かれて海にはいることにした。
海に入ると、それは波は小さいのだが形が良い波が20分に一回くらいは入ってきた。そんな波をターゲットに絞って本日はサーフィンをした。 セットの波でも膝くらいだったのだが、選べばきちんとショルダーがある。ボードさえ波にマッチしていれば、乗れそうな波だ。
まずは、このDragon CDの波を選ばずテイクオフできるその能力に驚いた。
波に乗ると、やっぱり思ったとおりパワーは無い。だけど、そのパワーレスな波でもきちんとテイクオフ出来るその性能は通常のノーズが細いサーフボードでは絶対に得られない性能だ。 パワーが波ながら、ボード自体がスピードを出してくれるので
フンフン
と無駄に踏み込みをする必要も無い。軽いレールターンで、ボードが
”ビューん“
と伸びるフィーリングがあるので波さえ割れれば、どんなサイズ(例え踝サイズでも)でも走っていればそのまま走破してくれる。 そんな素晴らしい走破性を持ち合わせているボードなので、今日のような小さな波でもきっちりとインサイドまで繋ぎを入れながらのライドが可能だった。
まさに、圧巻だったのは膝サイズの波にテイクオフして、そのまま3回ほどのアップ&ダウン。そして縦に当て込める場所があったので、ボトムでボードをためてそしてトップでの返し。
そのままトリミングをして、インサイドまで乗り継いで最後はロールインでフィニッシュ。
はっきり言って、デザインと素材のポテンシャルがぜんぜん違うと思った。素敵なボードです、このDragon CDは。
【Day7】
場所:千葉エリア
サイズ:腰・胸
風:ほぼ無風
波のコンデション:速めのブレイクで、ファンウエーブ。2アクション可能
今回のテストはある冬の午後。朝からのサイド気味の風が弱くなり、風はほぼ無風。海面はまるでガラス面のようなグラッシーなコンデションとなった。波は、ピークワイドで速めにブレイクする腰〜胸。太平洋側の冬の澄んだ空気とともに、ファンな状況が整った。小ぶりながらも、本日は今まで試した中で一番良い状態だった。ただし、ボードスピードが足りないと速い波を抜けられない。多くの他のサーファーも波に捕まっていた。
早速パドルアウトすると、ダンパー気味の波や三角波も入る。波を選べばかなり楽しそうだ。 もう何十回とこのボードに乗っているので、かなりテイクオフの感覚をつかめた。他の筆者のお気に入りのボードに乗っていながらの比較もしているので特徴もほぼつかんだようだ。
テイクオフなのだが、走り出しの際の乗りの良さとボードの安定感が光る。細いノーズボードのように、ノーズ付近が繊細ではないのでパドルが安定して、そして早い。当然テイクオフも早い。激早ではないが、早い部類である。
テイクオフ後に、ボードを走らせるとそのストリンガーレス構造の素晴らしいフレックスの
Dragon CD。コンケーブデッキによる新しい乗り味(足と水面が近くなる+パドルと乗り味の安定性)、そしてトルクの効いたドライブ力、そしてフィニッシュ技の軽さ。どれをとっても、サーフィン好きの心を捉えて離さないボード。
筆者は
”とにかく乗り味・ドライブ・軽さで楽しめるボードなので、常に車に入れて置きたいボード。“
と思う。XTR素材の開発者だけに、素材とデザインのマッチもまさに世界一のボードとなった。
もちろん、XTRのセンターストリンガーでも性能の高さは味わえるだろうが、筆者は新しいXTRのストリンガーレスか、XTRのストリンガーレスカーボンをお勧めしたい。素材が波に合わせてフレックスして、そしてトップでの反応も速い“新世代のストリンガーレスボード”の性能と、Dragon CDのコンケーブデッキのデザインのマッチは最高である。
ちなみに、ストリンガーレス構造の詳しい解説はここでは見送るが、アドバンテージとして
・ストリンガーが無いために、ボードがフレックスして波の斜面にロッカーがマッチする
・計算されたストリンガーレスボードは、ストリンガーボードよりもフレックス性能に優れていて、ボードがイキイキとした動きを出せる
・概して軽いボードになる
ということであろう。
サーフボードでは、特にフレックスが重要である。フレックスには2タイプあって
・Positive Flex(正のフレックス)
・Negative Flex(負のフレックス)
なのだが、Positive Flexのほうは、力が物体にかかった際に反発が起こり、パワーが生まれるフレックス。Negative Flexは、物体にかかった力がそのまま物体に衝撃吸収されてしまう(つまり反発が無い)フレックスだ。
XTR素材の素晴らしいところは、Positive Flexの性能が高く、力をかける(つまり体重をかけて踏み込む)ときちんとした反発が起こり、その反発がスピードに変わるところ。いわゆる、Speed Flexとも言われている。
お勧めのストリンガーレスとストリンガーレスカーボンボードは、Positive Flexがそれぞれの素材の特徴を生かすようにMAXになるように計算されて作られていて、今まで体感したことの無い素晴らしいフレックスが得られる。
ちなみに、RNFフリークに嬉しいのは、このボードは小波向けに触れているけど使おうと思えば、頭オーバーでも十分使えるデザインを持っているということだ。実際、CAでテストした時にはビーチでも、ポイントでも多くの頭オーバー波にも乗っていた。
小波から、ある程度のサイズまでこれ1本で慣れればぜんぜんオーケーだと筆者は思う。
基本得意な波はダラダラや、とろめ、そして小波系。安定した早めの走り出しから、コンケーブデッキ特有の足への吸い付き度合い(=コントロール性抜群)。レールが引っかからないそのスピード性能と、ターンの際のテールの軽さ・・
CL値25くらいのRNFと比べると、圧倒的にパドルとかも楽だし、CL値36くらいの超浮力系のように重くない。両方の良いとこ取りの新しいデザインとなる。
水の量が多い、ドカ掘れ系で速い波も乗れないことは無いが、その他のボードのほうが得意と思う。反対に波がソフトな感じだと、その走破性が最大に生かせてベストマッチである。Summer Timeの波が小さい時に必ず持ちたいタイプのデザインだ。パドルが衰えてきたベテランサーファーにも嬉しい。何より、そのコンケーブデッキによるユニークかつ、高性能なデザインが、RNF系ボードに新しい乗り味をもたらしている。
もちろん、得意な波・そうで無い波があるのはどんなサーフボードにも共通することだが、慣れればどんな波でもこのボードだけで乗りたくなる。そういった、中毒性の高いRNFボードなのだ。
追加のテストとあとがき【Day8】
場所:ビーチブレイク
サイズ:腰・胸
風:軽いオフショア
波のコンデション:速めのブレイクで、よれがあるけどファンウエーブ。3アクション可能
さて、あまりの調子良さにCAへボードを持っていってデーターを取ってもらったのだが、シェイパーのJavierからは
いいボードはファクトリーのシェイプルームに置いておいて、常に確認しておく必要がある
ということで、CAのファクトリーへボードを置いて来てしまった。とても調子が良かったので、自分は”うーん”という感じだったが、お客様のためにの次のシェイプが更に洗練されるだろうし、これからのいいボードの参考になるならば仕方ない。。。と、ボードをファクトリーに置いてきた。
その代わり、ほんのちょっとだけサイズを小さくしたDragon CDのストリンガーレスをオーダーをした。変更と言っても、長さを1/2”短くして、厚みを1/16”薄くしただけ。ただし、サイズを変えれば違いも出るだろう。
そしてついに、リサイズのDragon CDが届いてテストしたのだが
・サイズがジャストに近づいたので、回転性が上がる
・トップでの動きが少し軽くなり、リッピングやフィニッシュの当て込みでより軽め・鋭く板が返るようになる
という感想だった。多少短く・薄くなったので、良く言えば回転性重視のセットアップ。これはこれでとても楽しい。だけど、筆者はテールが軽すぎないほうが好みだ。だから、新しいフィンセットアップを編み出した。
Dragon CDをお持ちで、ツインフィン+トレーラーの設定で
"テールが動きすぎる”
"テールが軽すぎる”
"もう少しドライブ(スピード)が欲しい”
と感じた方は、是非以下の写真のセットアップを試していただきたい。スピードも出るし、そしてテールの安定感も出せる。
・フロントフィン=3Dフィン
・リアーフィン=GX-Q
・5フィン=Pivot Nubstar
クワッドだけだと、まだテールのルースさが残ってしまうので、5番目のフィンにNubstarフィンの小さいサイズの"Pivot Nubstarフィン”を装備した。こちらのPivotタイプは、通常のサイズよりも小さめなサイズなので、より動きが出せるデザインである。
この設定であると、テールが滑りすぎることも無く、そしてドライブもして、スピードも速いボードとなった。ツイン+スタビの設定と比較すると、テールが少し硬いか?と思うときも最初はあったのだが、すぐに慣れた。トライフィンの良さと、クワッドの良さをブレンドした今の自分にベストマッチなフィン設定となる。