ももから頭半まで使える!
ショートボードのフィーリングのオールラウンドミニラウンドボード

MADサーフボードがまた新しいジャンルのサーフボードをクリエイトした。その名も"McWhizz(マックウィズ)"
このボードは、
"通常のオールラウンドボードのノーズから6インチ(約15cm)は、使用することがなく、切り取っても性能に影響はほとんど無い"
という最新の理論によりデザインが行われたボード。
以前Kelly Slaterがノーズを6インチ切って作り出した、"Deep6"や、"Wizard Sleeve"のデザインの理論と似ている。
ただ、このMcWhizzは、日本向けに少しだけコンセプトの違いを生み出した。
それは、Deep6や弊社でも出しているX6、そしてWizard Sleeveが比較的質の良い波に対してデザインされているのに対し、この"McWhizz"は、日本でかならず直面するひざ〜腰の波でも対応が出来るようにしている点だ。
実際これからのインプレを読んでもらいたいのだが、テストする際に、ひざや腰波でも、数多くテストした。テストの感想は・・・はっきり言ってMind Browing。是非以下のインプレを読んでいただきたい。
Day1
場所:千葉北
風:弱いオンショア
波:モモ〜セット腰
初めてのMcWhizzのテストの日は、海外仕様のMcWhizzのコンセプトとは多少離れた状況だった。McWhizzの紹介を受けた当初は、どっちかというと掘れていて、パワーがある波のほうが活躍すると言うこと。
シェイパーのMatry Allenが、AUSのスナッパーロックスで使用した際に、喜びの雄叫びを上げるほどの性能を発揮したボードだと言うが、日本ではスナッパーのような波は、限られた場所で年に数回あるか?ましてや、一般ユーザーの方がそんな状況に出くわす確立は・・・
だから、Tuned For Japanのボードは、もう少し幅広い対応を見せるように要求をした。そのために、このMcWhizzの日本正規代理店モデルは、日本の弱めの波にも合わせてTuned
For Japanが施してある。隠れた天才シェイパーのMarty Allenの腕で、どこまで今日のオンショア腰波に対応できるかが、ポイントだった。
本日の波はダラダラな波もあれば、ほんの稀にショルダーが張っているものもある。だから、ほんの少しは期待していた。だけど、全然ボードが機能しなかったらどうしよう・・・とも思って不安はあった。
そんな期待と不安が交錯する中、 沖にパドルアウト。パドルをしてみると、通常のラウンドノーズフィッシュのようなオーバーフロートな感じでは無いことがわかる。むしろ普通のショートボードに浮力を出して、形をラウンドノーズにしたようなパドルのフィーリングだった。XTR素材とあってか、パドルのカッタルさなどは無いのが嬉しい。シャキシャキとパドルが進む。
ピークに行くと、やっぱりこのポイントの特徴か、波はトロ早め。日本では良くあるコンデションだ。走りが悪いと、たぶん波に置いていかれてすぐにホワイトウオーターに捕まってしまいそうだし、実際周囲を見渡すと、かなりの数のサーファーが乗りこなせていない。
今日はインサイド気味ではなく、ピークで波を待った。そうしたら、グーフィー側に走れる波がやってきた。
パドルを前回にすると、ボードがスーッと走る。テイクオフのフィーリングはこれまた、超浮力系のラウンドノーズのように激早では無い。
かといって、細いボードのように遅くも無い。いわば中間と言った感じだろうか。
ただ、5'3"×18 7/8×2 1/4のダイメンションのボードということを考えると、かなり早めなテイクオフと言って良い。こんなに短くて、テイクオフ出来るの?という質問にも、自信を持って答えられる。
テイクオフ後に、横に走り出す。”ん?これは、深いコンケーブの乗り味だ“
とすぐに理解する。
コンケーブが深いと、少しステッキー(波に張り付く感じという英語)になるのだ。これはコンケーブの深い場所に水が入り込み、ボードが波に張り付くからだ。良く多くのフィッシュ系にあるような薄めのコンケーブ〜VEEのような感じでは全く無かった。
コンケーブが深いボードらしく、最初の初速が素晴らしい。コンケーブが深いボードであるが、テールよりにはきちんとトリプル(いわゆるシングルコンケーブの中に、ダブルを隠してあるバージョン)を入れているので、すべてシングルコンケーブのボードよりはレールToレールをやりやすい。

コンケーブが深いボードの利点は、特にスピードなのだが、このボードもスピードが素晴らしい。そして、そのスピードをコントロールして、レールToレールに持っていければ、薄めのコンケーブ〜VEEボトムのボードよりも、ターンごとの爆発力も高い。また、ボトムで思いっきりためて、そして鋭いトップアクションが出来るのも、コンケーブ入りのボードの特徴だ。
最初のライドは初速が速くて、レールToレールのタイミングをつかめずに、波も悪かったので、横に走ってすぐに波がクローズアウトしてしまった。最近コンケーブが深めのボードに乗っていなかったので、調整が必要ということか。
ただ、乗り味はT-Rexやその他のメーカーのラウンドノーズフィッシュとは全く別物。よりコンケービーな乗り味(コンケーブの効いた乗り味)という感じなのだ。つまり、モダンハイパフォーマンスボードにより近いフィーリングと言える。
さて、インサイドからまたピークに戻る。次は乗り方を少し変えてみる。
またグーフィー側に乗れる波が来た。パドルを全開にしてテイクオフ。またまた軽快に、ボードがスーッと走り出す。
今度は前回と乗り方を調整し、すぐにレール出し入れすることに神経を集中した。
そしたら、上手くアップ&ダウンが出来て、セクションを乗り越えることが出来た。素晴らしいスピード感・・・今までのラウンドノーズ系のボードでは無い感じだ。しかも、ラウンドノーズフィッシュのようにノーズの過剰なもっさり感が全く無い。通常ラウンドノーズフィッシュは、ターンをしてトップへボードを持っていくと、ノーズが広いためだろうか?なんだかとてももっさりして、トップでのターンが散漫になりがちだ。
 
だけど、このMcWhizzはこのノーズの広さにして、そういったラウンドノーズ系のもっさり感無い。よりショートボードに近い感覚でトップターンが出来るのだ。
アップ&ダウンを2回ほどしたら、もう波がクローズアウトするようになった。だから、ボトムでタメを深くして、最後のセクションに当て込む。バコーンと音が聞こえてきそうな感じで、その短いボードのノーズが波の上に飛び出る。
"これだ。。これなんだコンケーブボードの凄さは。"
最後のボトムターンと、トップでの当て込みで、このボードの素性の良さが一発で分かった。
コンケーブが無いボード、いわゆるフラット系のボードだったら、ボトムで深くためて、そしてトップで鋭く当て込むのは中々難しい。というのは、波のボトムでボードを抑えてためている間、ボードのボトムがフラットで水が逃げてしまい、ボードがスライドしがちで、タメが効かないのだ。いわば浅いターンになりやすい。だからフラット気味なフィッシュ系ボードは、ボトムでためるというよりも、浅めもレールターンをしてそしてリラックスしながら乗っていくのが粋なんだ。
これと反して、コンケーブが入ったボードは、タメをしている間、しっかりとボードが波に張り付いてくれて、タメがとても効く。そしてそのタメを開放した後は、スピードをロスすること無く、トップスピードで波のトップへとボードを持っていけるのだ。
通常デザインの観点からすると、先ほども述べたように、レトロフィッシュなどのトラディショナル系のフィッシュボードは、あまりこういったボトムでためて、トップへトップスピードで当て込むのは得意でないことが多い(もちろん例外もあります。)。というのは、そういったボードは深いコンケーブを施すことは稀だからだ。
このMcWhizzは違う。ボトムでためて、そしてトップへ持っていく・・・というショートボードチックなサーフィンが可能なのだ。
今日の波でもそれは十分感じることが出来た。
"このボード、オンショアの日本でも使える"
ということが十分分かった。
嬉しい誤算で、ニコニコしながら、またピークへと戻る。今度はレギュラーを狙ってみようと思い、じっくりとレギュラーの波を待つ。10分ほど待つと、ショルダーの切れたレギュラーの波が入った。自分のポジションをテイクオフできる場所に持っていき、パドルをする。
ボードがスーッと走り出す。波が切れていて、2アクションくらいは出来そうだ。 まずは軽くアップ&ダウンをしてセクションを抜ける。そして、セクションを抜けたら、ボトムターンをして、トップに当て込めそうな感じに波がなった。
ボトムターンをしてタメを作る。タメて、タメて・・そして一気にトップへとボードを持って行く。その後の
トップでは、自分にしては鋭い当て込みをした。中級サーファーの自分にとっては、こういった成功体験がとても大切。それは、プロのような当て込みは出来ないけど、"もっと上手くたい"、"上級者がしているようなアクションを繰り出したい”というあくなき追求は、それでも持っている。皆さんも同じなのでは無いだろうか?
上のトップアクションで、僕が感じたことは
"なんだこのボード・・・普通のパフォーマンスボードチックな動きの感じだ”
ということ。今まで僕が乗っていた、先の丸いRNFとはまったく別の動きを体感させてくれた。
普通のパフォーマンスボードという表現だが、100%同じ感じではない。僕の乗ったボードは、5'3"の長さなので、理論的はオールラウンドボードの5'9"くらいの長さ。5'9"×18 7/8×2 1/4という数値になるので、通常のオールラウンドボードの5'11'×18 1/4×2 1/4の僕のボードよりは、多少は幅広な感じはする。但し、この動きはラウンドノーズでは今まで全く味わえなかった乗り味であった。
そのトップアクションのフィーリングは、まさにパフォーマンスショートボード的・・それは間違い無い。
そのトップアクションの後に、今度は波がクローズしそうになる。そのクローズアウトセクションにもボトムターンをして、当て込みをした。
またショートボードチックな動きを体全体で感じる。
"このボードイイ!もっといい波で乗ったら、更に良さも引き出されるだろうけど、この波でも十分楽しめる”
そう思った。
嬉しくなりながらピークに帰り、その後何度もこのMcWhizzを楽しんだ。
最後の波で、乗り遅れそうなテイクオフをした。乗れるか乗れないかギリギリのテイクオフ。そんな状況で、やっと乗れた・・・と思ってもボードスピードが十分で無いボードで波にすぐに捕まっているサーファーいないだろうか?
このMcWhizzはギリギリのテイクオフでも、乗ってしまうとスピード感が抜群だった。最初は
"やっとこさ乗ったけど、すぐに波に捕まりそうだ・・・"
と思った波でも、恐ろしい速さでセクションを抜けてしまった。そして最後のセクションで特大のフローター。これには参った。シングルコンケーブが深く、そしてボードがエラく速い。
最初のインプレでは、もう合格点も合格点。僕のお気に入りのボードコレクションにもう入ってしまった。

Day2
場所:
千葉中央エリア
風:多少強いサイドオフショア
波:ヒザ〜モモ
夏の千葉エリア。台風でも来ない限り、高気圧が張り出してしまうので波は小さめだ。今日もMcwhizzの本領を試せるコンデションでは無く、波はとても小さい。夏ということもあり、海は混雑していた。最初はその混雑具合と、その波の小ささを見て、
“もうやめちゃおうか・・・”
と思ったのだけど、せっかくお店の休日に海に来たのだから、ちょこっとサーフィンして行こうと考えて、波乗り決定。
ワックスをアップして、沖に。といっても波が小さいために、すぐに沖にパドルアウトする。
セットをじっと待つ。そしたら、今日の波にしては良さそうなモモ波が入ってきた。グフィーの波だ。
パドルを全力にして、波に乗る。このボードは波に乗る時の走り出しの際に、他には無い特徴的な印象を受ける。というのは、一度走り出したら、深めのシングルコンケーブの影響だろうか?抜群のロケットスタートで、スピードのロスがあまり無い。テイクオフ後の走り出しは、ピカ一だ。

そんな、走り出しの早いボードなので、いつもだったら
“あああ・・・波に捕まってしまう”
という波の状況でも、波に捕まらないのだ。
走り出す→ボードが浮く感触→捕まらない
という、サーファーだったら嬉しいテイクオフ後の走りを生み出してくれる。Martyのシェイプデザインの良さが光る。
テイクオフをして、2〜3回アップ&ダウンをする。ここでまたこのボードの良さが際立つ。通常のRNFなどでは、テール幅が広い関係上、レールToレールがどうしても遅くなりがち。だけど、McWhizzはテールを絞っていて、テールの動きが繊細に行える。シングルコンケーブが深くてもだ。しかも、シングルコンケーブの中にダブルコンケーブを隠していあるので、ターンの際に水がリリースして、ターンもしやすいというデザインになっている。
アップダウンを軽快にして、インサイドへと、そして最後の当て込みも軽快にして、この波はフィニッシュ。
"ああ、バランスの良い板だなあ”
と考えざるを得ない。小さめの波でも使えるのだ。技術が高いサーファーだったら、そのスピード性能を生かして、エアーなどもバンバン決めてしまうだろう。

今日は波も小さかったのだけど、ひざの波でも乗れないことはぜんぜん無い。ひざだって、きちんとアップ&ダウンが出来るサーファーであれば、ボードを走らせることが出来る。波が小さくても、ボードが短いので、タイトなターンも出来てしまうのだ。なんと素晴らしいことか!
今日も波が小さかったが、ボードの性能が高いので楽しめた。"Martyにすぐにこのことを報告して、お礼をしたいなあ"と、考えていた。
Day3
場所:
千葉北エリア
風:多少強いサイドオフショア
波:胸〜肩 セット頭
今までの波は小さめだった。だけど、このインプレで最後のセクションでは、波が少し大きめな状況でのインプレだ。
 
低気圧が通過したある日の週末、Mcwhizzの本領が試せそうなコンデションにやっと直面した。風は北ベース。O’Sideサーフの近場のエリアでのテストだ。
朝起きると、雨の予報から一転。晴れ間が覗く嬉しい朝。早速McWhizzを車に積んで、昨日から定めていたポイントへと急ぐ。
今日は週末ということもあって、人で賑わっていた。軽く100人くらいはいそうだ。
ピークへのパドルアウトして、最初はアウト側にて波を待つ。そしたらグーフィーに走れるセットがいきなり来た。
テイクオフをすると、ボードがスーッと走り出す。テイクオフの早さは普通だが、その後の走り出しがとても早いかつ、スムーズ。走り出しが早いのは必須だが、走った後にボードが滑らかにコントロール出来るボードはなかなか無い。
あるボードは、テールが引っ付いたような感じになり、あるボードはテールがルース過ぎるなどなど・・
だけど、McWhizzはテールのコントロール性が抜群な挙動を見せるのだ。ターンのきっかけが大変つかみやすい。変な引っかかりも無いので、自分の意のままにコントロールが出来るような感じすらする。
波が掘れて来たので、アップ&ダウンでセクションを乗り切る。バランスが取れているボードなので、スピードがつきやすく、セクションを簡単に乗り越えさせてくれる。つかまる!と思ったセクションでも、つかまらないのだ。
今日は波が大きめということもあり、この5'3"の長さでもいけるかな?と考えていたが、この大き目のセットでも安定した乗り味。
ボトムターンで、思いっきりタメをしてみる。ターンの際に、変にボードのテールなどが抜けることは無い。きっちりとタメを長い間させてくれる。
その深いボトムターンをこなして、そしてボードをトップへと持っていく。そしてトップでは、テールを思い切り食い込ませた、カービングターン。カービングターンの後に、波がとろくなってきた。
だから、波のパワーゾーンに戻るためにカットバックをする。カットバックの際も、テールの引っかかりや、広めのRNFにありがちな、テールがホワイトウオーター上で浮いてしまって、技の移行が遅れるということも無い。ホワイトウオーターに当て込みをすれば、ボードの動きがシャキシャキしていて、すぐに次の技に移ることが出来る。
カットバックの後には、波がクローズするような感じだったので、ボトムで一度ターンをためて、そしてトップでローラーコースター。よどみの無いすばらしいライディングだった。
自分で自分のライドがよどみが無いなどと言うのは、とても恥ずかしいこと。でもサーフィン=スポーツと捕らえている人にとって大切なことがある。それは、サーフィンは人と比べるというスポーツというよりは、昔の自分からどれだけ進化したかを測るスポーツだということだ。そうやって考えてこの素晴らしいスポーツをやっていくことが、サーフィンを本当に楽しむことに必要な大原則ではないだろうかと、俺は考えている。
俺は、このボードを使い始めてから、自分のサーフィンも上達したと思うし、サーフボードへ対する懐が深まったと自信を持って言える。
今日のテストで、もう一つ重要なことが分かった。それは、
"丸いボードなのに、今日の波で一度もノーズが突き刺さらなかった”
ことである。
RNFタイプやフィッシュボードを乗っている人には経験があるだろう。波にパワーが合ったり、大きかったりすると、テイクオフはこなせるものの、テイクオフをした後に、ボードのノーズロッカーが弱くて、そしてボリュームが多すぎるために、コントロール性を失い、ノーズが突き刺さることがあることだ。でも、これはボードデザイン上致し方ないこと。
だけど、MartyのMcWhizzは、ノーズのロッカーフォイルと、コンケーブを調整することによって、パワーがある波でも、ノーズの突き刺さりが極力避けられるように(RNFボード比)なっている。そういった細かい調整をしているボードだけに、本日の波のコンデションでも、ノーズ刺さりが全く無かったのが嬉しい。
もちろん、大きな波用のガンボードだってノーズ刺さりがし難いとはいえ、起こることなので、このMcWhizzもノーズ刺さりが皆無ということは無いだろう。だけど、通常のRNFとは比較にならないほどの、ノーズ刺さらない現象!が味わえる。

この日は、波が良く、きっちりとトップToボトムのサーフィンが可能だった。McWhizzのボードの性能が十分に生かせて、最高にハッピーな一日だった。ひざでも楽しめるし、肩〜頭でも余裕で対応可能。パワーのある波でも、フィッシュボードのようか挙動の不安定さも無い。
"このボードイイ!”
そう自信を持って言えるのだった。
Day4
場所:
千葉中央リーフブレイクエリア
風:多少強いオフショア
波:肩〜頭 セット頭半以上
最後のインプレは、台風が通過した直後の日曜。その日の未明に房総半島に台風が一番近づくという予報で、前日はXTRサーフボードジャパンの本拠中の千葉北エリアは、ほぼすべてクローズアウト。だから、"目指す場所は、外房だとあのエリアしかないだろう"ということで、朝2時半起きで友人と待ち合わせる。

途中のポイントをチェクせずに(と言うより、暗すぎてチェック不可能)、あのリーフポイントに車を走らせる。最初にチェックした場所は、波があまり反応していなかった。その場所のサイズはマキシマムセットで肩くらい。台風が抜けた後の、北のうねりはイマイチか?と思い、すぐ隣のクラシカルリーフポイントへ。ここは先日、PulseのX6を使ってダブルオーバーの波を堪能した場所だ。
遠く岸から見ると、サイズは頭くらいに見える。でも、あの場所は見た目より実際は大きな波なのだ。
駐車場で着替えている間、一緒に来た友人が僕のMcWhizzの5'3"を見てこう言う。
"その短いボード、なめてますね。本当にそれを使うんですか?”
今日のコンデションであれば、もう少し長いボードでも良かった。だけど、今日はこのボードともう一つ車に積んでいた5'8"のボードしかない。
McWhizzは+6インチすれば、5'9"なのだから、5'8”のもう一つのボードよりも、こちらのMcWhizz5'3"のほうが長いはず。またMcWhizzのほうが、自分が持っていた5'8"よりもテールの絞りが強いので、パワーのある波でも大丈夫なはずだと思い、McWhizz5'3"をチョイスした。
朝の暗いうちはあまり波が良くなかったが、明るくなるにつれて波が良くなってきた。早速パドルアウト。
この場所はパドルしてピークに行くまでに、10分ほどかかる。長いパドルを経て、ついにポイントのピークへ。岸から見るのとは全く違い、サイズも十分。最大セットダブル?は言いすぎだが、頭半以上はある。こういった場所では、怪我をしない様に、そして周囲に配慮する必要があるので、緊張する。
2段掘れするピークのセットの波は、さすがにビジター100%の僕は遠慮して、多少インサイド(それでもサイズや掘れ具合は十分)で波を待つことにした。
そしたら、大き目のセットが入り、僕の友人がテイクオフ。テイクオフをメイクした後は、彼はどうなったか分からないが、その波の後に自分の友人の姿が見えなくなった。
"どうしたんだろう?リーシュでも切れちゃったのかな?"と思いながらも、僕はサーフィンをしばらく続ける。
後でわかったことだが、なんと彼は1発目でサーフボードを折ってしまったのだ。真っ二つだった。インサイドのチューブのような波に突っ込んで、抜けられると思ったけど抜けられず波の餌食に。それほどパワーがある波だということだ。
辛抱強く待っていると、僕の所に波が入ってきた。こういったコンデションでは、自分のポジションに入ってきた波は確実に乗り、そしてメイクする必要がある。そうしないと、その場所にいるメンバーには、
"あいつは乗れる技術が無いサーファーだ”
と思われて、その後のサーフィンに差支えがある。
逆に、きっちりと"波に乗れる”所を見せれば、"乗れるサーファー”として見てもらえ、後々のサーフィンが快適になる。ドロップインや、邪魔されることも少なくなる。最初の1本が、ビジターとしてはとても重要なのだ。これは、僕がサーフィンを本当に覚えたと言える、カリフォルニアのサンタクルーズで学んだ貴重な事。
波にテイクオフするために、全開でパドル。ボードがスーッと走る。そして、トップから少し落とされるように波にドロップ。

"この5'3"の長さなのに、このパワフルリーフブレイクで通常のショート感覚でテイクオフできるとは・・”
とボードのポテンシャルの高さに感銘を受けた。
ノーズエリアからバッチリと入るMcWhizzの深いコンケーブも、パキっとした波にぴったりなのだろう。また、その全体のロッカーも絶妙。ラウンドノーズフィッシュのように、ノーズロッカーは"ノペっ"とはしていない。小波系ラウンドノーズフィッシュのようにmMcWhizzは先が短いのだが、小波系ラウンドノーズのように、パワーのある波でもノーズが刺さりずらいのだ。
テイクオフが快適でも、その後のターン性能が劣るのでは意味が無い。"そのターン性能は?"となるが、このボードはターン性能も高く、ノーズが先に長いボードよりも軽くボードが回せる。唯一の欠点は、試合などではノーズが丸いボードは点数が出にくいということか?でも、サーフィンを楽しむのであれば、これは素晴らしいことだ。
ボトムターンをして、カットバックをする。そしてホワイトウオーターに当て込みをする。ホワイトウオーターに当て込みをした際も、そのホワイトウオーターでばたつくことも無く、そのまま次のターンに入れた。その次のターンも、深めにボトムでためて、そしてトップでパワーを開放する。
その後波が掘れて来て、かっ飛ばせるセクションが現れた。ボードをアップ&ダウンさせセクションを軽快に走らせる。爽快&素晴らしい挙動だ。最後は、クローズアウトになりそうなので、フローターをしてここでフィニッシュ。
 
今日は混んできたのであまり波は取れなかったが、サーフィン時間が計1時間くらいで、全部で7本ほどいい波をメイクできた。アマチュアの僕が、千葉でたぶん1〜2を争いそうな一級リーフで、そして5'3"のボードで楽しめること自体幸せ。今日はこのボードを使って本当に良かった。
(余談:あのボードが折れた僕の友人は、かなり残念がっていたけど、その後にまた一緒にパドルアウト。彼もこの一級リーフを堪能していました)
はっきり言って、Martyの名前はマイナーだった。宣伝もしないし、友人や知り合いのプロサーファーが中心で、ボードを削っていたからだ。
だけど、彼が削ったボードに乗っているサーファーとしては、Ricky Whitlock、Jay “Bottle” Thompson、Jay Phillips、Dean Morrison、Mick Fanningなどなど。。。プロの名前を出せば、意外とビックネームも出てくる。
もちろんボードはその人への適正があるから、100%マジックボードとは言わないけど、僕はMartyのボードで乗っていて、調子が悪いことって一回も無かった。それだけ、自信を持って推奨できるシェイパーだ。 あるお客様も
"Marty Allen調子いいですよねえ”
と言ってくれたし、
"今まで、ビックネームブランドに乗っていたけど、Martyはそのボードよりも良い。隠れたグットシェイパーに間違いない!”
と絶賛してくれるお客様もいる。
お客様も認めてくれていて、僕も太鼓判のボードメーカー。それがMADサーフボードだ。
 
初級者のボードでは無い。最低でも中級レベルで、アップ&ダウンは完璧になっている必要がある。でも、中級以上のサーファーだったら、このボード気に入ってくれるはずだ。
スピード抜群のショートボードチックミニボード・・・まさにそんな呼び名がピッタリのMcWhizzだ。
さてここで、McWhizzの総括をしてみよう。
- McWhizzはオールラウンドに使える今までのRNFとはコンセプトが別のボード。だから、RNF系のボードと使い分けをしても良い。
- ベストのサイズはもも〜頭半くらい。掘れたチューブの波でも十分扱える。
- フィッシュ系のボードとは異なり、ボードが良い意味で波に貼りつくので、パワーを使ったサーフィンにも適する。
- 短いので、オールラウンドボードより確実に小回りが利く。
- オールラウンドボードより、ノーズの広さなどがあるために、概してテイクオフが早い。
Marty Allenの真髄は乗りやすさだけでなく、そのパフォーマンスにある。新しいデザインを試してみたく、そしてさまざまなタイプのボードに乗って、今までの自分のレベルを1段階から2段階ステップアップさせたいサーファーにとてもお奨めのボードがこのMcWhizzだ。
いつも先の細いオールラウンドではもう飽きてしまった・・・新しいコンセプトのボードこそ、自分の新たなる可能性とサーフィンの楽しさが引き出せるという考えのサーファーに。そして、オールラウンドボードでは、そのテイクオフ性能や、波へのフィットが満足行かないサーファーにもお勧めできる。


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