M7 インプレッション
反応の高さと、縦への動き、そしてルース性を兼ね備えたこれぞ究極のオールラウンドハイパフォーマンス
サーフボードインプレッション
MADサーフボードのハイパフォーマンスボードであるM7。
このボードは、僕がMartyのシェイプに惚れこむきっかけとなったMRFの次に、通常のハイパフォーマンスボードを乗りたくなったのでオーダーしたボードの一つです。
オーダーをする前に、 Martyにこんなことを相談しました。
MRFのミ二ボード系じゃなくて、通常の先の細いハイパフォーマンスボードが欲しいのだけど・・
そしたら、彼にM4とM7の2本を乗ってみろと強く勧めらました。その時オーダーしたボードの1本です。サイズは、僕が今まで使っていたマジックボードのデーターを基にして、
5’11“×18 1/4×2 3/16 スカッシュテール
となりました。体重は61sのサーファーのスペックです。これは、同時にオーダーしたM4と全く同じサイズです。同じサイズにしたのは、M4とM7の乗り味を比較してみたかったからです。同じサイズのサーフボードでどんな違いが出るのか?、それも楽しみ。 そして一応ライダー(一般サーファー代表として)なので、2ヶ月のRushで作ってもらいました。
出来上がったボードを触ってみると、最初に感じたことは。
薄い・・・
MRFは、結構厚みがあって薄いとか、そんなこと無いのだけど、Martyのパフォーマンスボードは薄いものが多いのです。M4と同様に、このM7も無駄なフォームを削いでいます。
サーフボードインプレッション ‘サーフボードインプレッション
僕が今まで乗っていた、マジックボードはどっちかというとレールが丸くて厚めのボードだったから、 正直最初に触った時は、不安だった。
実際に最初にこのボードを触った時の不安さは本音。自分は今までこれほど薄めのボードに乗ったことが無いからだ。
浮力は大丈夫だろうか?
が僕の一番最初の感想。そんなに不安になること無いじゃない?という人もいるだろうけど、一般サーファーにとって浮力感はとても大切なのはお分かりだろう。
ただ、ボードはとても綺麗なアウトラインで、センターはきっちり2 3/16厚みがあるし、レールもいわゆる世界のパフォーマンスボードに使われている
ローボキシー
という形状。
ボードのシャープさの理由をMartyに聞いてみると、
薄いように感じるけど、触って分からない場所に隠し浮力が入っているし、コンケーブの浮力で乗っていてスピードが出るから絶対に大丈夫だ。
サーフボードインプレッションと言う。 “そーかー。あれだけ良いボードシェイプするし、グットシェイパーだから、信じることにするか。“となった。
ボードの他の特徴はというと、ボードはシングルコンケーブにトリプルコンケーブをあわせたボトム。いわゆるシングルの中に、ダブルを入れるボトム形状で、スピードとコントロール性のバランスが良いデザイン。
レールはというと、さっきも出たけどローボキシーで、センターは厚みをきちんととっているけど、ノーズエリアとテールのフィンの横からテールエンドまでは余分なフォームを取ってある。繊細に反応しそうだ。
ボードを受け取った時は、期待と不安が交錯したが、まずは試さないとサーフボードの性能は分からない。だから、試乗だ〜ということになった。
パフォーマンスボードだから、膝のヘロヘロ涙波では使いたくない。だから、腰以上の波が出てくるのを待って、まずは試乗を使用と考えていた。
【試乗-Day 1】
場所:ビーチブレイク
波のサイズ:腰〜腹
波の質:ハイタイドで潮の量が多目。ちょっと厚めのコンデション
最初の試乗の時は、波ははっきりいってあまり良くなかった。最初はPulseのFF-J For Rippers(ニューモデル 2010年 4月発売予定)に乗っていて、そのボードでは楽しめたのだけど、ハイパフォーマンスボードだったらどうだろう?と思うコンデションだった。
だけど、日本のユーザーの人だったら、絶対こういったコンデションでもM7を使う時があるなと考え、M7にワックスアップして、初のM7を体感することにした。
さサーフボードインプレッションて、ワックスアップをして早速パドルアウトとなる。
最初のパドル感の素直な感想はコレ。
こんなに薄く感じるのに、浮力が思ったよりある。軽く仕上げてあるからだけでは無さそうだ。
なんだろう、M4に乗った時も同じように感じたのだけど、触った感じより確実に浮力はある。同じようなハイパフォーマンスボードより、シャープな感じなのに?何故。
たぶん上手く浮力をデザインの中に隠してあるのだろう。これぞMartyマジック。軽快なパドルをして、アウトに出る。カリフォルニア特有のちょっと冷たい海と、暖かい外気のコントラストがまた格別だ。
今日はビーチブレイクなので、ピークがバラけている。だからおのおの自分の好きなピークを楽しめる。俺の周りには半径20mに誰もいない。空いている海は、誰でも好きだろう。綺麗に晴れていて、気分は最高だった。
さて、そんなことを考えている間に1本目の波が入って来た。セットよりはちょっぴり小さい波で、インサイドよりの波。もも〜腰サイズといったところ。
ハイパフォーマンスボードは、決まってももサイズだと、走りに苦労しているので、このボードはどうかな?と考えながら、まずはパドルしてテイクオフを試みる。
ボードがスーッと走り出す。
ああ、この感じ。走り出しが良い、グットボードのフィーリングだ。ノーズが細めのボードにしては、かなり早いと言える。
XTRサーフボードジャパンがプロデゥースするボードで、重要視している点がある。それは
" 走り出しが良いこと”
である。
サーフボードインプレッション サーフボードインプレッション
どんなボードも、最初のテイクオフ時の走り出しが遅く・あいまいだと、動きが良くても乗れないボードになる。だから、XTRサーフボードジャパンではその走り出しにはかなり気を配っているのだ。
このM7はまさに合格。走り出しが早いボードとなる。
さて、軽快な走り出しをした後に、軽いアップス&ダウンをして、テール付近のフィーリングを確かめる。テールがすかすかしないので、これも合格。テール付近にまるでエンジンが入っているように、ビューンとボードが加速していく。
最初の波は、ダンパー気味であった。走ってセクションを抜け、そして最後のセクションでロールインをするという、簡単なものだったが、ボードのドライブ性能の高さと、そしてテールのコントロール性の軽さが際立った。
特に俺がこのM7で想像していたのと違うのは、その高いドライブ性能。テールが軽めのボード、すなわちテールがフリップしているボードは、テールがすかすかとして、ボトムターンとかアップ&ダウンの時に安定しない感じがあったりするのだが、M7は違う。ドライブするのに、ルースするという感覚なのだ。
良い感触を覚えながら、またピーク付近へと戻っていく。一発目から、ボードの良さが伝わってくる乗り心地だった。
最初の波は、フロントサイドだった。だから、次の波はバックサイドで乗ろうと決めていたので、その波を待つ。そしたら、今度は1本目より大きめな波が入ってきた。
パドルをして、波に乗ろうとする。その時、
あっ、波においてかれそうだ
というタイミングでパドルをしてしまった。つまり、波に乗ろうとするポジショニングが悪かったのだ。
でも、なんとそれもボードがスーッと走り出して、テイクオフを難なくクリアー。
そのテイクオフの後というと、波が掘れていて、早かったのだが、ボードのドライブ性能が高いために、その早いセクションも、ボードがスピードを出して抜けていった。
シェイプバランスの良さを感じずにはいられない。
最初のセクションをクリアーすると、波が掘れてきて、バックサイドで当て込める場所ができたので、ボードをトップでターンさせる。
トップターンも軽快にこなせるボードだった。ネバネバとしたターンというよりも、スパッとしたターンが特徴らしい。
その後に波がとろくなってきたので、カットバック。ボードを波の進行方向と逆の方向に向けて、ホワイトウオーターに当て込み。また波の進行方向へボードを向けたら、波がなくなってしまったので、これでこのライドは終了。
その後も、いい感触でボードに乗りながら、今日のあまり良くないコンデションでもボードが活躍してくれた事にボードのポテンシャルを感じていた。そして今日のセッションは終了。今度はもっと良い波で乗りたいと思い、家路についたのだった。
【試乗-Day 2】
場所:ビーチブレイク
波のサイズ:胸〜肩
波の質:波が掘れていて、パワーもまずまず。カリフォルニアでの典型的な秋のファンウエーブな日。
さて、今日のテストコンデションは、前回よりも良かった。ターンの回数は、それほど多くない2〜3アクションほど(波がウオールアップ:つまり少しだけダンパー気味で、早くて、最後はクローズしてしまう)。ただ、キレた波を選べば、カッ飛びで楽しめるコンデションだった。
今日の素晴らしいサーフセッションを期待をしながらピークへと。そしてじっくりと波を待つ。
サーフボードインプレッション最初の一発はグーフィーの波だった。腰くらいの小さめだったけど、波が掘れていて、そして早い。
いつものようにM7の特徴である、素早いテイクオフと走り出しをしながら、波に乗る。
ああーこの感触。最高だ。
いいフィーリングを足元に覚えながら、まずは2回ほどアップ&ダウンしてセクションを抜ける。いわばセットアップターンだ。
そしてそのセットアップの後に、ボトムターンを深くして、波のトップに当て込んだ。ボトムからトップへの上がりがとても早い。そして、脳裏にこれはグットボードだという確信を覚える。トップターンでは、キレがよく、軽い操作感でボードを回す。
そのトップターンの後に波がとろくなってきたから、カットバックをしながら、
“レールが薄めなのに、引っ掛かりが無い“
と感動を覚えた。そして、インサイドまで乗っていって、最後はホワイトウオーターに当て込み。ここでこの波のライドは終了。
ピークへ戻ると、今度はレギュラーの波が来た。レギュラーの波のほうが、グーフィーより多少崩れるタイミングに余裕があり、マニューバーができる今日のコンデション。早速その波をピックアップする。
スーッとテイクオフで走り出すと、今度はすぐに波が掘れて、そして当て込みを出来るセクションが出てきた。ボトムターンで、少しだけタメを意識しながら、トップへとボードを持っていく。本当にぎりぎりの所に当てたんだけど、ボードの縦への上がりがとても早くて、そのぎりぎりの所でも波のパワーを確実に得られる場所に当てこめた。
この縦への上がりの早さそしてイージーさは、M7の特徴なのだ。
サーフボードインプレッション
その当て込みをした後も、確実にボードが回ってくれ、しかも安定して取り回せる、つまりコントロール性能が高いために、あれだけ際どいところに当てたんだけど、ワイプアウトしなかった。
俺っていつもあんな感じで当てると、ワイプアウトしちゃうんだけど、ナゼ?と感激したくらいだ。
そして、次もまたすぐにターンが出来る場所が来た。今度はねじり込むようなカービングをする。
そんなカービングでも、スピードをロスせず、そしてレールの引っ掛かりが無いので、とてもスムーズ。シルク(絹)の表面のようなスムーズさがあると言えるだろう。
最後はホワイトウオーターに当て込んで、そしてまた最後の最後で、ホワイトウオーターに。ああ、このボードマジックだなとう予感が確信に変わる瞬間とはまさにこのことだった。
サーフボードインプレッション サーフボードインプレッション
【試乗-Day 3】
場所:玉石ブレイク
波のサイズ:肩〜頭オーバー
波の質:オンショアが吹いていて、ジャンク気味
最後はテスト結果というより、M7を使った試合の結果報告というほうが良いかもしれない。実はこの最後のインプレのセクションは、あるカリフォルニアで行われたアマチュアのサーフィン大会でのリポート。カリフォルニアに住んでいる人にはもうおなじみの大会だろう。
サーフボードインプレッション サーフボードインプレッション
試合の当日は、波は上がったのだが、朝方は風がカリフォルニアの天敵の南風。頭オーバーから頭半のオンショアでグチャグチャ気味の状況だった。ただ、試合の場所は玉石のしっかりとしたセミポイントブレイクなので、悪い波の中にも、選べばきちんとインサイドまで乗れそうな波がある状況だった。
当日は波のコンデションが読めなかったために、3本のボードを持ち込み、ヒート前の練習でどのボードがいいかを確かめてからボードを決める予定だった。その計画までは良かったのだが、実際ヒートの直前に海に到着して、自分のヒートがなんと朝7時の1回戦目だった。だから、いろいろボードを変えてテストしながら練習する時間も無く、最初はM7とは違ったパフォーマンスボードを使った。
1回戦は最初に使った他のモデルボードが、あまり今日の波にマッチしていなかったのか、そのヒートはぎりぎりの通過。そんなこんなで、2回戦からはM7を使い始めた。そしたら、ボードがこの波にバッチリと合っているようで、次のヒートからは余裕を持って通過できたのだ。
サーフボードインプレッションM7は、スピード能力があるボードだが、走り過ぎないのがポイント。だから、スピードをキープしたままトップへ上がり、そのトップでもタイトなアクションを決めることが可能だ。テールのフリップを見れば、そのデザインからもその回転性が予測できる人もいるだろう。
波はハードなコンデションだったが、ボードの性能に助けられて決勝へ。決勝では優勝こそできなかったが、結果は2位という自分としては出来すぎな結果であった。俺は、この結果は自分の実力だとは思わない。出来すぎだからだ。
そう、決勝まで残れて2位になれたのもすべてボードのおかげ。今日ボードをM7にしなかったら、その結果はついてこなかっただろう。M7は本当にいいボードなのだ。
様々なテストで、まさにこのM7が自分の好みのスタイルにピッタリということが分かった。ボードはどっちかというと、フロントフッター(前足重心)というよりも、後ろ足き意識を持っていったほうが調子が良い。両足をバランス良く使うサーファーでも、調子良く感じるだろう。
今までのボードで、”ドライブはあるけど、動かない?”とか、”動くけど、ドライブが無い”と不満があるサーファーだったら、是非お奨めするボード。
サーフボードインプレッション サーフボードインプレッション
ボトムで深くためて、そしてトップではキレを出す。スライドや、エアーを繰り出すとうような、最新のサーフィンをさせてくれるであろうグットボードだ。トッププロのJay "Bottle" Thompsonも絶賛しているが、それでも俺のような一般サーファーでも乗れてしまう対応の幅の広さもある。
さてここで、M7の総括をしてみよう。
●M7のベストサイズは腰以上。だけど、ももとか膝波でも、走っていくドライブ性能がある。
●特に縦へ上がるスピードや、反応が高い。
●レールは薄く感じるが、実は思ったより浮力が出る。
●テールを抜いたり、エアーをしたりするサーフスタイルにも適している。
Marty Allenの真髄は乗りやすさだけでなく、そのパフォーマンスにある。今までの自分のレベルを1段階から2段階ステップアップさせたいサーファーにとてもお奨めのボードがこのM7だ。あなたの次なるステージへの扉を開いてくれるボード・・・是非M7を試して欲しい。